性行為のパターン
着衣のまま軽いキスや抱き合う程度で終わった場合は性行為とまではいえないであろう。
自慰(オナニー)はふつう性行為といわない。
着衣のままであってもキスや愛撫によってお互いの興奮が盛り上がり、呼吸が荒くなったり、男性器の勃起、クリトリスの充血や愛液が溢れるなどの状態になれば、人前では憚られる状態であり、性行為といえる(ペッティングを参照)。
オーラルセックスも性行為の一つである。
男性(オス)の勃起した性器を女性(メス)の性器に挿入することを性交、セックスと言う(人間以外の動物の場合は交尾と言う)。
性交を行う前に前戯を行う事は一般的である。それは感情的、肉体的に性的興奮を引き起こす事を目的とする。また、精神的な融和を促す。前戯を行わず性交を行うことはしばしば女子に苦痛を与える。女子は性的興奮を感ずると意思によらず膣部より愛液を分泌し、女性器は湿潤となる(潤滑液愛液)。そのことで膣部の摩擦係数が減少しペニスの挿入を受容する準備となる。
人間や高等哺乳類では同性間で性行為が行われる事もある(同性愛)。
勃起したペニスを相手方の肛門に挿入する性行為をアナルセックスという。相手方は男子または女子である。
男性の同性愛者を「ゲイ」または「ホモ」と呼ぶことがある。ホモは同性愛者全体を指す英語のhomosexual(ホモセクシャル)からきた呼び方であるホモという言い方は差別的な意味合いを含んでいるため避けられることが多い。女性同士の場合は「レズビアン」と言われる。
3Pは3人で行う性行為の俗称(3人プレイ)。性別の組み合わせに関わらず使用する。同様に4P(4人プレイ)などという。1Pは(ふつう性行為とはいわないが)自慰の意味に使用することがある。グループセックスは4以上の人数で行う性行為を指す。性行為は2人で行うものが一般性を持つ。
強姦は性行為を行う意思が一方にない性行為の事である(レイプ)。その行為の成立にはしばしば肉体的な暴力が用いられ、行為を強要される者にとり、性行為は単に行為にとどまらず、自身の人格の否定と感じられることがある。多くの国の法律で犯罪とされる。
もっぱら金銭を目的として、性行為を行う場合がある(風俗業、売春、援助交際、アダルトビデオなど。これらは犯罪となる場合がある)。
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言葉
「性交」「セックス」という言葉を口にすることに抵抗感を持つ人は多いが、近年、若い人の間では、より抵抗感の少ない「エッチする」という言葉がよく使われている。(明石家さんまが普及させたといわれる)
エッチの語源は変態(Hentai)の頭文字と言われている。
主に学生の隠語で、A・B・Cという言葉があり、キス・ペッティング・セックスを意味する。
風俗などで、フェラチオなどの性交類似行為と区別して、性交そのものを「本番」と称する。
本来人間以外に対して使われる「交尾」を俗語として「性交」の意味で使うこともある。
「ヤる」「スる」などの代動詞が性交を意味する場合もある。
古くは「枕を交わす」という奥床しい言葉もあった。その他性交を示す隠語の類も数多く存在する。
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生物・生理学的分野
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性交
性交では勃起した男性器(陰茎)を女性器(膣)に挿入し、前後に動かす。膣壁と亀頭・陰茎の摩擦により、男女とも刺激が強まり、性的に興奮する。
このとき女性も男性の動きにあわせて腰を動かしたり、膣の周りの筋肉が収縮してさらに快感を高めあうことができる。性的興奮が最高潮に達した状態をオーガズム(オルガスムス Orgasmus)といい、男性は射精し、女性も膣の収縮などの現象が起こり、エクスタシーの状態に達する。ただし男女が同時にオーガズムに達することは稀である。
男性が射精に至るメカニズムは比較的単純であるが、女性側は性交を重ねていてもオーガズムを味わったことがない場合がしばしば見られる。しかし感じていないと相手を傷つけるのではないかという怖れから、感じているふり(演技)をする場合も多いといわれる。
動物の性交(交尾)は遺伝子の交配を行うための繁殖行動として行われ、一般に発情期がある(少数ながら例外もある)。一方、人間は繁殖行動としての性交(セックス)という目的からしばしば逸脱し、もっぱら快楽を得る目的や、コミュニケーションの一つ等として様々な形態の性行為を行うことができる。発情期も見られない。特に避妊技術が進んだことで、生殖と性交の分離が進んだ。
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性交の体位
人間の場合、生物学的に様々な性交体位(体位)を取ることができる。現代日本では男性が女性の上から被さる形の正常位が一般的と考えられるが、文化によって差異がある。(後出)
哺乳類のほとんどは雌の後ろから雄が覆い被さる後背位である。人間以外では、ピグミーチンパンジー(ボノボ)、オランウータンが正常位による交尾を行うことが知られている。さらにボノボは繁殖の目的以外に、交尾を情緒的なコミュニケーションのためにも利用する。
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社会学・文化人類学的分野
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性交に関わる民俗
かつては夜這いという風習があった。夜間、他人の家に押し入り、女性と性交を行う行為で、現在であれば立派な住居不法侵入であろう。しかし、将来の夫婦など双方の家族が暗黙の了解のもとに行っている場合もあった。
古くは筆下ろし、水揚げといって年頃になった若者に実地の性教育をほどこす風習があったという。13歳など一定の年齢に達した男女に対し、大人が相手をして性のテクニックを教えたということである。当然、結婚まで処女・童貞を守るという発想はなかった。
西欧では領主が初夜権を持っていたと言われる(結婚した女性と初めて性交するのは新郎ではなく、領主であった)。
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体位
現代日本では男性が女性の上から被さる形の正常位(対面男性上位)の体位がその名の通り一般的と考えられているが、ヨーロッパやアジアでは後背位、対面座位、騎乗位が一般的な地域もある。
日本では四十八手という体位のバリエーションがある。中国でいう房中術は、単なる体位や技術ではなく、男女の「気」を高める一種の健康法という要素があるという。
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ライフサイクル
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初体験
初めて行う性交を初体験(俗に初H)という。一般に初体験前の男性を童貞、女性を処女という。一時期、日本では「結婚するまでは処女・童貞でいるべき」(自分はともあれ)とする倫理感を持つ人が多かったが、近年では激減している。儒教道徳が強く残っているとされる韓国でも、ヌードになったりアダルトビデオに出演する女性が出てきており、性の解放は全世界的な傾向なのであろう。
いつ初体験を行うか、という客観的なデータを取るのは中々困難である(アンケート方式か・対面式か、調査主体はどこか、など調査方法により数値が異なる)が、次のデータも参考にされたい。
都庁のサイト 青少年の性行動について考える会[1]
都内の高校3年生では半数近く(45.6%)の女子が性交を経験、中学3年生では約1割(9.1%)とされている(2002年調査)
宮台真司のサイト 性教育について[2]
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低年齢での体験
近年、初体験を済ませる年代が低年齢化しているといわれる。早く初体験を済ませることを同年代の者に誇り、そうでないものを見下したり、コンプレックスを感じさせるような風潮があるのは由々しき問題である。妊娠、性病などに関する知識も不十分なまま好奇心で(中には金銭を得るために)行うことは将来に悪影響を残しかねないが、学校教育での性教育も、こうした事態に対してうまく対処できていないのが実情であろう。13歳未満の女性と性交すると強姦罪に問われるが、成人と18歳未満の児童の性交を取り締まろうとするいわゆる「淫行条例」(例:東京都青少年の健全な育成に関する条例)が各都道府県で制定されている(成人女性と高校生男子の行為が摘発された例もある)。余りに低年齢の性のモラルが乱れているとして、東京都では条例を改正し、規制をさらに強化しようとする動きもあるが、本来個人のプライバシーの領域である性に行政が干渉することを批判する意見もある。
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性交と結婚
結婚制度は性交を社会的に管理する役割を持っている。本能のままに行動していては、子の養育などの責務を果たさない者が増加するおそれがあり、夫婦間の結びつきを強め、家族機能を保障するものである。
結婚しているにもかかわらず、他の異性と性交をすることを姦通、やや遠まわしに「不倫」という。結婚している女性が別の男性と性交を行った場合、姦通罪に問われる国もある(例:韓国、第2次世界大戦までの日本)。
夫婦がどの位の頻度で性交を行うかは個人差もあるが、国によっても差異があるようである。日本ではマンネリ化して「盆と正月」くらいしか妻とは行わない、という男性の声もよく聞かれる。これには家庭より上司や同僚との付き合いを重視する生活傾向に由来することも考えられる。
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高齢者の性
高齢社会を迎え、高齢者の性も注目されている。(注:統計数値を上げるのであれば、実施時期・主体・方法など〜少なくとも出典〜を明記すべきである。出典を明記しなければ何の意味もない)ある統計によれば65〜69歳の男性が女性に引かれるのが63%、70〜74歳52%、75〜79歳53%と高率に異性を感じているという。70代の性欲では男女ともに性交が一致する人々が15% 相手が強すぎると思う男性は37%、女性では19%で一般に男女カップルの年齢差があるとは云え女性の性欲は閉経後は妊娠を安心して性欲は強さの増加傾向が認められている。老人の場合、性交までいかなくても、抱き合うことやクリニングスで性的な満足が得られ、老人介護施設内では、老人の恋愛問題が深刻な管理対策となっている。施設では比較的プライバシーを守れる恋愛が自由に出来る場合は、生き甲斐を感じて自立性が高められるので、近年は施設の見直しもあらわれている。(スタブ)
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その他
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着衣の有無
性交を行う時は全裸になるのが一般的だと考える向きもあるが、文化によっても異なる。日本でも第2次世界大戦前は一般に、全裸になる方が珍しかったという。また、時間のないときや第三者に見つかるおそれを伴う場合は、下半身のみ出した状態などで行うことがある。
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人前での性行為
通常、性行為は人前を避けた場所で行われるが、人に見つかるおそれのある場所や、あえて人前で行われる場合もある。(一般には変態性欲の現われとみなされるし、公然での性行為は、法的には犯罪である。刑法 第22章 第174条 公然猥褻罪参照)
人に見つかるおそれのある状況として、自動車内(カーセックス)、夜間の公園、カラオケボックス、混浴の温泉、会社の倉庫や非常階段などで行う場合が考えられる。
あえて人前で行われる状況としては、何らかの金銭目的の場合や、同好の士が集団で行う場合などが考えられる。
ストリップ劇場で「白黒ショー」と称して、男女の出演者(プロ)が性交の様子を見せることがある。あくまでショーであるため、男性は射精をしないという暗黙のルールがある。また「生板ショー」と称し、希望する観客と踊り子に舞台上で性交を行わせることがある。生板の場合、客は避妊具着用のうえで射精してもよい。(1980-90年代にはよく見られたものだが、近年は取締りが厳しくなり、余り行われていないようである)
アダルトビデオの撮影はカメラ・監督・照明・メイクなど数人のスタッフの元で行われる。慣れない男優の場合、うまく勃たないこともある。また、電車の中や公道上など野外で撮影されたアダルトビデオがある。(現行犯逮捕された事例もある)
まれに社会に対する抵抗・抗議などを示すため、公共の場所で行う者もある。
同好の者が集まって、大人数で性行為を行うことがある。(グループセックスを参照)

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