東京ディズニーリゾートの運営会社「オリエンタルランド」(OLC)が、元暴力団幹部の右翼団体幹部と関係の深い不動産会社に本社社屋の清掃業務を委託し、結果的に巨額の利益をもたらしていた問題で、OLCは20日午前、「契約にそぐわない会社と疑われても仕方がない」などとして、この不動産会社との契約を今年8月末で打ち切ることを明らかにした。
OLCは、毎年行われる不動産会社との契約更新時に、同社の実態について事実上、調査などを行わないまま、20年にわたって随意契約を続けていた。
OLCが契約打ち切りを決めたのは、東京ディズニーリゾートと同じ千葉県浦安市に事務所を構える不動産会社「中央興発」。
同社は、全国の右翼団体で組織する「全日本愛国者団体会議」の名誉議長、志賀三郎氏(79)の実兄や長男が、代表取締役や役員を務めたことがあるなど、志賀氏との関係が深い企業で、OLCは1984年から、本社社屋の清掃業務を委託し続けてきた。
OLCは、読売新聞の指摘を受け、中央興発との契約の経緯などを内部調査した結果、「(中央興発は)右翼幹部とつながりがあると疑われる。コンプライアンス(法令順守)の観点から、これ以上契約はできない」(広報部)と判断。今週に入り、同社に対し、今年9月からの契約更新をせず、契約を打ち切ることを伝えたという。
加賀見俊夫社長(69)も同日朝、東京都内の自宅前で報道陣に対し、「(読売新聞の)取材があって調べると、(右翼団体幹部の)息子さんが役員に入っていたことがわかった。コンプライアンス上、問題があることは間違いない」としたうえで、「契約が切れる今年8月でやめることで(中央興発と)合意した」と述べた。
OLCによると、本社清掃業務は毎年9月に、1年間の契約で中央興発に発注してきたという。
しかし、関係者によると、OLCの総務部門や不動産管理部門などの関連部署は、中央興発の実態をまったくチェックしてこなかったという。また、契約価格についても「一般(の企業)よりも割安で、妥当な金額」(広報部)などと説明してきたが、実際は、同業他社との見積もり合わせなどは一度も行っていなかった。
OLC広報部は「チェックが甘かったと言われれば否定できない」としている。
◆本社前の報道陣にびっくり…OLC社員◆
東京ディズニーランドや東京ディズニーシーと同じ敷地内にある千葉県浦安市のOLC本社前には、20日早朝から多くの報道陣が詰めかけ、同社の安岡譲治広報部長ら広報担当者数人が、報道陣の問い合わせに応対した。
同社の出勤時間とも重なり、出勤した社員の中には、正門前に集まった報道陣にびっくりした表情を見せる人もいた。

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