環境省が考える「風の道」構想 ◇都心に作れ「風の道」
緑地の冷気を導く「風の道」を整備して都心部のビル街の気温を下げる取り組みに、環境省が来年度から乗り出す。ビルの空調に使うエネルギーを減らし、二酸化炭素の排出量を抑えるのが狙い。今後、与党と協議し、来年度予算として10億円の概算要求を盛り込む。
◇環境省モデル事業
同省によると、都市部はその周辺に比べ気温が約3度高い。要因として、道路舗装やビルのコンクリート壁で空気が暖められることや、ビルや自動車からの排熱が挙げられるという。こうした地区に緑地からの風を通したり、ビルの屋上や壁面の緑化で表面温度を下げるヒートアイランド対策を実施する。
来年度は、東京都の丸の内周辺をモデル地区に設定。緑の生い茂る皇居の冷気をJR線の東側にある八重洲、銀座、日本橋地区のビル街まで送り込む=図。そのため、この方面に向かう数本の通りを「風の道」として整備。路面温度を下げる効果を持つ保水性の舗装に変えるほか、これらの通りに面した丸ビルなどの屋上や壁面を緑化、街路樹や噴水も設置する。場合によっては、通りの幅を広げ、緑地から導いた冷気を暖めないよう導く。これにより、ビル街の気温が2度ほど下がると見込んでいる。
同省は今後、ビルの密集度が高い全国数カ所の地点を選んで事業化していく方針。東京より西の名古屋、大阪、福岡などにある主要駅の周辺ビル街で、同様の対策を実施すると、エネルギー使用に伴う二酸化炭素の排出量を年間105万トン程度減らせるという。【山本建】


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