amazonに書いた批評。映画「ホビット」のサントラ盤について。
http://www.amazon.co.jp/Hobbit-Unexpected-Journey-Howard-Shore/dp/B009O07NDY/ref=cm_cr_pr_pb_i
主題の旋律と主題歌の「Song of the Lonely Mountain」の歌に魅入られて買った。作曲はHoward Show、作詞はNeil Finnらしい。「らしい」と言ったのはクレジットを見ると多くの人が関わったことが分かるからだ。Neil Finnの歌う詩はTolkienの「The Hobbit」で出てくる「The Dwarves song(ドワーフの歌)」が出展である。しかし制作者は2つのバージョンで映画中で使っている。
一つはドワーフの首領、Tholinが歌う「Misty Mountain」であり、このバージョンはThe Dwarves songの最初の1段と途中の1段をサビとして使っている。2つ目は、作品の内容を盛り込んだ新しい詩となっているが、特徴である韻の踏み方はTolkienの作品と全く同じにしている。曲としては2つの曲想と1つの変奏を入れて大衆的な好みに合わせている。だが、これを良しとしないフアンも多く、Johnny Melderというシンガーは、The Dwarves songを忠実にFinnのメロディを借用して歌っている。Youtubeを見ると同じ様に原詩に忠実に演奏しようと言う人達の作品を見ることが出来る。惜しむらくはそれらの作品は、著作権の為に世に膾炙することは無いということだ。ただし、欧米の人と言えど、Finnの旋律に原詩をどう乗せるのかに稚拙があり、聞くに堪えないものもある。
私は原詩を朗読したいという欲求が昔からあり、このFinnの旋律は非情に有り難い。
Neil Finnの歌で面白いことがある。曲中の変奏のところで、CDについてくる資料には次の様な部分がある。
We must awake and make the day
To find a song for heart and soul
We must awake という部分は次の and make the day とは韻を踏んでないが、Tolkienの原詩ではここは全ての詩中で韻を踏んでいる。Finnはどう歌っているかというと、どうも We must away と歌っているフシがある。というのは声の最後の部分が微妙に終わっているのだ。ここは資料の方が違うのではないかと、映画「ホビット」のフアンサイトの掲示板に投稿してみたが、ネイティブである主催者もどちらか分からないと回答されてきた。
「awayでは文法的に間違っていて意味が通じないじゃないか」と思われる人がいると思うので、Tolkienの原詩を提示して終わろうと思う。away は古語で動詞的に使っているのではないかと私は思う。
Far over the misty mountains cold
To dungeons deep and caverns old
We must away ere break of day
To seek the pale enchanted gold.

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