中学生の時見て傑作だと思い続けてきた映画に忘れたころ巡り会った。
ステュピッドな邦題「
続荒野の用心棒」(原題「Django」)だ。思えば、日本の配給会社の二番煎じをもろに体現した邦題作りはここ(マカロニウエスタン)に始まったのかも知れない。
売れなかったクリント・イーストウッドの出世作が、故黒沢監督の「七人の侍」のマカロニ・バージョンだが、それほど興奮する者ではなかった。ジュリアーノ・ジェンマとかの同じ様なものが続き、食傷した記憶がある。
しかし、このDjangoは、近頃日本でもリメークされた様だが(予告を見た途端見る気がしなくなった)、やはりその頃の若者の心を掴んでいたようだ。
ファーストシーンを見て衝撃を受けるだろう。泥道を棺桶を引きづりながら歩く男の後ろ姿と泥まみれのブーツに、あのその頃流行りだしたエレキギターの素直なイントロと「ジャンゴー!」という歌が重なった時、戦慄を覚えた。
また、主役のフランコ・ネロ(当時23)の透き通るような青い目がカウボーイハットの下から覗くシーンに見とれた。
制作陣は知らず知らずのうちに名作を生み出していたのだろう。
この映画が後世に最も影響を残したのは、随所に見られるジャンゴの早撃ちのシーンだ。一発一発に戦いがあるのではなく、一瞬のうちに敵を殺してしまうというシニカルな構図はこの映画で始まったに違いない。
最後のシーンでは、墓の十字架に掛かった血みどろの銃を背にして、ジャンゴが坂を登って去っていく一気撮りは、何ともやるせない後味を残す。勿論、あおのジャンゴの曲が重なる。

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