7月8日発売のボディ・コンシャス向け雑誌「
Tarzan」(561号)は「体幹」がテーマだ。体幹とは体の姿勢を正しく保つための人間の骨と筋肉のあり方だ。
そこに私が注目している「
柳生新陰流」の稽古風景が見開きで取材されている。
特集では、人間の肉体の調和を保つ骨とそれをサポートする筋肉の種類と関係を説明し、アスリートやバレーダンサーなどの鍛えられた体の構造をもとにコア・トレーニングのやり方を紹介しているのだ。
そこで何故、新陰流という古武道なのかというと、腰を中心にした人間の正しい(というのは誤解を生じるかも知れないが・・・)動きが、科学的に新陰流が400年伝えてきた修行法と一致するからだ。
柳生宗家の話が載っているが、新陰流には「ハ・セ」という教えがあり、ハは腹、セは背中の意味であり、日本刀を持って戦う時に体の中心を常にハとセの間に置かねばならない。そうでなくては戦いの流れに臨機応変に対応出来ないのだ。
剣を振って体重が前に偏っては、足を斬られた時に引くに引けなくなる。
つまり、新陰流は無限の敵を相手にすることを想定し、それが「神妙剣」として誰もが持っている能力であると説くのである。その極意が「ハセセ」と呼ばれる最後の「セ」即ち「西江水」の境地であるという。
その意味の一つが体の使い方、姿勢にあることは間違いない。
新陰流の試合勢法という稽古法があるが、見ていると正にそれと感じる。相手が大上段からこちらの頭を撃ってくる場合、「流し」という技でそれを受ける。相手の剣がこちらの頭に当たる瞬間に、自らの剣で斜めにそれを受けた途端に、その切っ先が背中にくるりと廻り、今度は肩の上から相手に斬りつけるのである。
相手の力で自らの剣を回し、大きな弧を描いて相手を攻撃するが、体は肩を回しているだけであり、力を入れる必要はないのだ。
これほどの人間工学に適った刀法を生み出した流祖達はどんな天才だったのだろう!
新陰流を題材にした
私の小説もご贔屓に!

0