私はスティーブン・セガールの映画が割と好きだ。と言っても、「最強の親父」と銘打った最近10年ほどのシリーズにあまり見るものはない。
彼はCIAの活動員だったとか言われているが、彼の「合気道」は結構本物らしい。
合気道と言うよりは合気道の防御を取り入れたマーシャル・アーツだ。
相手に向かう時、脚を開いて体を揺すって近寄るが、相手に先に手を出させるためだろう。喧嘩する時、相手に何をやるか悟らせない結構、参考になる動きだ。
私が彼の映画に注目したのは、最初の作品群の
「
アウト・フォー・ジャステス」
「
刑事ニコ・法の死角」
「
ハード・ツー・キル」
の暴力刑事ものだ。
ロスなどの下町のスペイン語が混じったようなとろける様な感じの会話は、非常に迫真さがあり、面白い。警察の汚職なども如実に描き出されていて、権力に屈しないその生き方は汚れたヒーローと言える。
このセガールを知る人達は後年の「沈黙シリーズ」でがっかりしたことだろう。
しかし2007年作の
「
沈黙の報復」
はスチュピッドな邦名ながら、往年の作品を思い出させてくれる。
思うにこのシリーズを担当している人は単に繰り返ししか出来ない無能の広報だ。
この作品の現代は「Renegade Justice」(報復の正義)。かなり無機質な報復劇だ。
子供の様なギャングどもも、ガンを持っていると言うだけで全て撃ち殺し、首を折られてしまう。
ダーティー・ハリー以来、悪には容赦ない罰をという「正義の右翼化」が全世界の映画好きの頭に刷り込まれた分けだが、一部分を見ればこの作品はその先鋭と言って良いだろう。
そして黒人のギャングの訛りのある軽快なしゃべり。英語の勉強をしている人はアメリカの貧民層の生活を垣間見ることが、字幕を英語にすることによって出来る。

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