いつも素敵なイラストを頂いている山野林梧様からまたまた拙著の主人公、りんの絵を頂きました。一筋の涙を流す姿から
SSを付けてしまいました。
拙著「前田慶次郎異聞」はまだ文禄の役で話がストップしていますが、このSSは、そこから関ヶ原の戦いのある慶長五年に飛びます。
西で天下分け目の合戦があったのと同時に、東で規模は小さいですけど、会津と出羽で合戦がありました。上杉謙信の跡を継いだ会津の上杉景勝と、常に置賜地方の覇権を争っていた山形城の最上義光の合戦です。
結局は石田三成を中心とした西軍と同じ扱いを受けていた上杉景勝は、関ヶ原の決着が付いた後、もうこれまでと山形に出ていた全軍を撤退させます。
しかし撤退戦は無傷で行えるものではありません。上杉の総大将、直江兼続が直々に殿(しんがり)を務めます。四面楚歌、まさに決死の覚悟だったでしょう。だが、景勝と終生タッグを組んだ兼続は、上杉家の象徴そのものです。
ここに後代にも謳われた上杉最後の戦いが始まります。

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