DVDが出たので見ました。
女にも分からない男の愛があること。
そして無知で異質を好まないアメリカの田舎に物語を置いたこと。
恵まれない生い立ちの心の隙間を埋めようとする男達の情熱と、周囲と内面の葛藤を原作者の女性作家は見事に描きました。それを雄大な自然と調和させた脚本家と監督(アン・リー)の手腕は見事でした。
「異質」としての視点をアン・リーというアジア人の監督は逆に利用したと思います。アングロサクソンとプロテスタントの人間の集団にはとても東洋人などは入り込めません。少なくともそこの方言をしゃべり、同じ気質を持っている人間でなくては駄目です。だからアン・リーは監督という特権でもう一つの「異質」、ホモ・セクシャリティを描けたのでは無いかと思います。
淡々とした愛と優しい感情。彼らが普通に育っていれば普通に言われる「男の友情」に終わったかも知れません。愛に至らなかった友情。男なら経験したことがある人は多いのではないでしょうか?
高校の頃、夜広場に寝ころんで一緒に夜空を見たことがありませんか?親友のこいつとならどこまででも行けそうだ、と思ったことはありませんか?
この映画の主人公達はそのような幸福な少年時代はなかったようです。でもWASP(White Anglo-Saxson and Protestant)から抜け出せず、KKKに入る輩の様な無知と高慢にもなれなかった。
彼らは妻子を持ってもその心の隙間は塞がらなかった。そうしてこの物語は進んでいきます。
幸福な少年時代を送った私は、子供を持つことで塞がりました。その穴は小さかったからです・・・
最後のウイリー・ネルソンの"He was a friend of mine"にはがつんと来ました。

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