首相や元官房長の靖国参拝で騒然としたなか、遅ればせながらDVDレンタルで「俺たちの大和」を見た。
私の祖父が大和とともに果て、半世紀の生涯を子や孫の為に送った祖母への想いがあり、少し斜めに見たが、「前評判」がよいというのも理解した。
最後の出撃前に自分達の運命のどのくらいのことが知らさされていたかは、生き残った人達の手記などで検証していきたいが、最後まで戦うしかなかった男達の鎮魂になる映画かも知れない。
本土に残った参謀達がどのように責任を取ったか、知りたいものだ。(その遺族には申し訳ないが)一番死なせてはならない連中を死なせた責任は末代まで伝えなくてはならない。自刃しようが贖罪しようが、これを許してはならない。
最後の戦いは、戦闘機用重機銃座の兵隊達を中心に描かれていたが、よく描かれていたと思う。戦闘機はまずここを狙って機銃掃射をするはずだから、ここの惨状は描かれていたよりももっと悲惨だったはずだ。
戦闘機から飛び来る速度に乗った長大な銃弾に少しでも触れれば、五体満足に死ぬことは出来ないだろう。その意味か、彼らの背後の壁には戦闘初期から血液が飛び散っていた。この描き方はよい。そういう考えを巡らさない観客は、大げさに写るだけだろうが。とんでもない。もっと悲惨な光景のはずだ。
大和で起こったことが正しかったのかどうかは、この映画は明らかにしていないが、もう物言わぬ祖母を持った私がいくら感動しても何になるんだという虚無感が起こる。
いつの時代にも女達は犠牲を強いられ、馬鹿な男は理屈を作って死地へ行った。だが、もう10年もしたら、口や舌に平気でピアスをするような自己の精神状態も制御できないような若い人間がこの地を覆う。定職を持たないから自ら生活苦に陥り、ファシズムが彼らの緩い脳を興奮させる時が来るかも知れない。あとはまたヒトラーのような人間が出てくれば歴史は繰り返してしまう。ナチズム下のドイツの悲惨さは女までがそれに参加したことだ。不況という状況で。
余談だが、映画で重機銃を撃つと銃弾倉の弾がちゃんと動いていた。馬鹿な男の私はそれが面白かった。

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