★★★☆☆
ううむ。惜しいですな。やはり脚本と制作の態度に問題を感じました。
若い人(あえて役者とは言いません。役者とは厳しい演劇の訓練を受けた人たちのことを言うときに使います)を使うのはいいですけど、なぜみんなキムタク式の「・・・ってどうよ」ことばなんでしょう。そんなところに今の若者の現実らしさを出してもしょうがない。ファンタジーなんですよね、この映画は。ちゃんと指導してよい日本語を使わせてください。(マスコミが影響を考えないでこういう言葉を全国に流し続けているということが問題と思ってます)
特にサタンを演じている子はもっと中性的で高貴な振り付けをさせてあげたかった。永井豪の原作は神を愛して堕落したサタンとデビルマンの同性愛的な雰囲気が描かれていたと思います。それは作者の嗜好と一つの聖書の翻訳でした。
脚本とは、「場所の移動」、「時間の流れ」、「姿などの変遷」をいかに観客に自然に受け止めさせ、納得づくで鑑賞させるかの一つの技術です。前半は学校、家庭、研究所という狭い範囲でぎぐしゃくと流れます。
なぜサタンは興ざめな白いスーツを着てるのか?なぜなぜ・・・が多すぎで脚本と制作の連携が悪いことが証明されます。
後半のCGは見るものがありました。人の魂が群れあって山を作るシーンやサタンの姿は私の目を楽しませてくれましたよ。
最後のデビルマンの死に立ち会うサタンとのシーンはもっと美しく描いて欲しかった。あそこがキーですよね。また続きを意識していないことにも驚きました。
また、魔女裁判を再燃させる人間たちの醜さも作者が繰り返し原作で描いています。一応この映画で作者も出演してそれは成功しているかも。でも町内会の人たちが突然襲ってくる、という笑っていいのか恐れていいのか分からない感覚を持ちましたが、ちょっと演出としては「ダさめ」の評価をしました。国家がどんどん恐怖国家になっていくのをもっとちゃんと描いて欲しかった。
ボブサップが怪演してましたね。

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