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2019/8/23 9:05
2019年8月23日 日経ビジネス スクープ HIS、ユニゾ争奪戦から撤退へ 奥貴史
旅行大手のエイチ・アイ・エス(HIS)が、不動産やホテルを手掛けるユニゾホールディングス(HD)の争奪戦から撤退する方針を固めたことが日経ビジネスの取材で明らかになった。「変なホテル」を展開するHISはホテル事業などの強化を狙って、ユニゾホールディングスにTOBを実施していた(Rodrigo Reyes Marin/アフロ)
HISが7月に敵対的TOB(株式公開買い付け)を仕掛けたのに対し、ソフトバンクグループ傘下の投資ファンドがより高値でTOBをかけるというユニゾ争奪戦が繰り広げられてきた。HISはこれ以上TOB価格を引き上げることはせず、ユニゾHD株の取得を断念する。
HISは7月、ユニゾHD株を1株3100円で買い付けると表明、ユニゾHDの保有株を、それまでの5%弱からTOBで45%まで高めようとした。両社が組めばホテル事業などで相乗効果が見込めるという狙いだった。TOBはユニゾHD側の同意なく突然始めたもので、結果的にユニゾHDが反対する敵対的TOBとなった。事前協議にユニゾHD側が応じなかったことから、HISが強硬手段に出たわけだ。
だが事情はその後、複雑になった。HISの傘下入りを嫌ったユニゾHDがホワイトナイト(白馬の騎士)探しに奔走したからだ。その結果、ソフトバンクグループ傘下の米投資ファンド、フォートレス・インベストメント・グループが8月中旬、ユニゾ株に対して1株4000円でTOBを開始した。ユニゾHDは全株取得を目指すフォートレスのTOBに賛同すると表明している。フォートレスが買い付け価格を900円も上乗せしてきたことでHIS側は対応を迫られていた。HISのTOB期限は8月23日までだが、このままではHISに株を売ってくれる株主は常識的に考えればいない。TOB期限を延長して買い付け価格をフォートレスより高く引き上げるかどうかが焦点となっていた。
HISによるTOB表明前のユニゾHD株は1000円台で推移していたこともあり、HIS側では「さすがに4000円以上は出せない」という判断に落ち着いたようだ。物言う株主として知られる米エリオット・マネジメントがユニゾHD株を10%弱保有するなど、変数が増えたことも撤退に気持ちが傾く要因となったようだ。仮にTOB価格を引き上げて争奪戦を続けて勝ったとしても、エリオットがどんな要求をしてくるか読めないからだ。
HISがTOB開始前に市場で買い集めていた5%弱のユニゾHD株の取得価格は1000円台とみられる。仮にフォートレスのTOBに応じて持ち株を売却すれば、これだけで30億円前後の売却益が見込める計算だ。HISはユニゾHD株をすべて売却し、「いい投資案件だった」として完全撤退する可能性も出てきた。
HISによる敵対的TOB→ホワイトナイトとしてフォートレスが登場という「劇場型」のユニゾHD争奪戦はこれでひとまず決着をみることになりそうだ。
2019/8/12 7:07
2019年8月11日18:31 ロイター コラム:落日の株式アナリスト、厳しい現実と生き残りの方策 Edward Hadas
[ロンドン7日ロイターBREAKINGVIEWS]高額の報酬を受け取り、世界各地を出張で飛び回り、何度失敗しても罰を受けることはめったにない──。そんな恵まれた生活を享受してきた株式アナリストたちが、いま様変わりの厳しさに直面している。
投資銀行で「バイ・アンド・セル」業務を担当する専門家(ただし概ね「バイ」サイドだが)の高額報酬を生む主な源泉となっていた株式トレーディングの収益は大きく減少した。ベンチマークに連動するパッシブ資金運用が拡大しているためだ。 規制強化の打撃も大きい。欧州連合が厳格な金融商品市場指令を発動し、上場企業に関する長大な、しかしほとんど深みのないアナリスト・レポートにクライアントからの資金を期待することは難しくなった。ウンザリするほど詳細だが、将来の展開も過去とほとんど変わらない展開になると予測するだけの複雑なスプレッドシートを投資家に山ほど提供する口実はもはや存在しない。
投資家と直接会ってミーティングを持つ意味も低下している。最も貴重な情報を、目配せやちょっとした素振りでクライアントに伝えようという手法が社内のコンプライアンス部門に制止されるからだ。 企業がますます株式非公開に動く中、伝統的な株式アナリストにとっては、調査対象が減っているという現実もある。株式価値をすばやく計算できるという彼らの大切なスキルを活かして、さらにうまみのある社内ポストに転じる機会もすっかり少なくなってしまった。 さらに悪いことに、世界も以前とは違う動き方をしている。端緒となったのは、ほぼすべての人の不意を突いた2008年の金融危機だ。他の金融市場参加者と同じく、企業分析の専門家でさえも、押し寄せる雪崩に直面しながら道路標識を確認しているような混乱に見舞われた。
とりわけ時代遅れになってしまったのは、銀行のアナリストたちだろう。市場予測には政治だけが意味を持つようになり、企業や産業に関する彼らの詳細な知識はほぼ無意味になった。いかなる金融モデルをもってしても、政府がどのタイミングで銀行を救済するのか、その救済策がどのようなものになるのかを予想することはできない。
こうした打撃は一時的なものではない。個々の銘柄の値動きは、新製品や市場シェアの変化、あるいは利益率の上下などの情報で変動するよりも、アナリストが判断できる範囲を超えた大きな動きに翻弄される可能性が高くなっている。 金融政策を例に取ろう。企業・家計におけるレバレッジ比率(負債比率)が上昇した結果、企業利益にとって、金利動向を決める中央銀行の政策が自社の価格支配力とほとんど同じくらい重要な要因になった。だが株式アナリストは一般に、金融規制については言うに及ばず、将来の金利政策についても特別な知見を持っているわけではない。 またレバレッジ比率が上昇していることで、企業はアナリストにはなかなか予想しづらい些細な変化に過敏になっている。ビール製造大手のアンハイザー・ブッシュ・インベブは、ビール需要がごくわずか低下すると予測されただけで、バランスシート上の負債を減らそうと努力しているほどなのだ。
ドナルド・トランプ大統領にも困ったものだ。トランプ氏はいともあっさりと株価の予測不可能性をかなり高めてしまった。大統領が次にどのような混乱をもたらそうとするか、彼の攻撃的なツイートが実際に政策変更につながるかどうかは誰にもわからず、株式アナリストとしてはお手上げの状態だ。 さらに中国も、トランプ氏が仕掛ける貿易戦争や為替操作国という非難がなかったとしても、やはり、アナリストらにとっては「私の責任じゃない」と言いたくなる大きな変動要因になりつつある。 世界第2位の経済大国である中国が重要なのは、単に国際貿易を大きく広げ、グローバルな経済的影響力を強めようという野心を抱いているからだけではない。中国は巨額の債務を抱えており、労働年齢人口は縮小し、独裁政権により経済が圧迫される可能性もある。アナリストが中国への希望的観測を語ることはできても、その動きについて現実的な予測を行うのは無理だ。 地球の反対側には、ブレグジットという問題がある。英国経済に対するエクスポージャーを抱える企業を分析する上で、英国の欧州連合離脱は予断を許さない大きな未知数だ。現時点で想定されている離脱期限まで3ヶ月を切った。しかしなお、悲惨な結果になりかねない「合意なき離脱」から、信頼感の上昇につながる離脱プランの全面撤回まで、さまざまなシナリオが残っている。多くの人々と同じく、株式アナリストにもまったく先が読めない状況なのだ。
大きな要因が市場を動かす時代は、しばらくは終りそうにない。気候変動やラディカルな経済政策を掲げる独裁政権、新たな金融危機などによる潜在的な影響を考えてみるがいい。 とはいえ、株式アナリストという職業が消滅することはないだろう。想像力豊かな株式アナリストは、新たな不確実性に反応し、そこから利益をどう上げるか、という助言をアクティブ投資家に提供する方法をすでに見つけつつある。 自分のスキルを別の方面で活かしたいと考える株式アナリストもいるかもしれない。
企業の仕組みについて詳細を把握し、どのような種類の特権が最も豊かな見返りをもたらすかを理解している人々にとって、特にふさわしい職業が1つある。そう、株式アナリストは、企業のロビイストとして適任なのだ。 もちろん、ある程度の再訓練は必要だろう。特に、独りよがりな企業戦略を耳ざわりよく説明する技法は必要だ。しかし、コーポレートバンキング部門の怪しげな顧客のために、ベタ誉めの「買い」評価を書いたことのあるアナリストだったら、真実を(あるいはそれに類する何かを)、自分の雇い主の有利になるようにねじ曲げた経験は持っている。 ロビイストにはスプレッドシートはあまり必要とされないし、営業活動のために出張であちこち出かけられるわけでもない。とはいえ、報酬は引き続き高い。外部の大きな要因に振り回されることも減る。 市場サプライズの予測に苦労してきた株式アナリストが立場を変え、今度は影の権力者であるパワーブローカーとして、そうしたサプライズを自ら作り出すことが可能になるかもしれない。
*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストで、1989−2004年は投資銀株式アナリスト。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。(翻訳:エァクレーレン)
2019/8/7 20:56
2019年8月7日14:35 コラム:中国とロシア、強面の裏は「内憂外患」Peter Apps
[ロンドン2日ロイター]これまでのところ、2019年は西側の民主主義諸国にとって穏やかな年とはとうてい言えない。英国の欧州連合(EU)離脱を巡って暗雲が垂れ込め、来年の米国大統領選挙の行方も不透明だ。 だが、問題に直面しているのは彼らだけではない。西側の国々の中には、香港やロシアで起きている抗議行動は独裁権力の限界を反映しているという見方が多い。
香港では、強まる中国支配に抵抗する大規模なデモにより、本土の権力者を脅かすほど危機が深まっている。モスクワでは6月27日、野党候補者の地方選出馬を認めるよう求めた無許可の抗議行動が発生し、1000人以上が拘束された。プーチン大統領の強権に抵抗する反体制派に対する弾圧としては、ここ数年で最大規模に数えられる。 トルコのエルドアン大統領も、ここ数カ月は困難に直面している。イスタンブール市長選では、与党・公正発展党(AKP)とは非常に異なる綱領を掲げる野党政治家エクレム・イマモール氏が初回投票で勝利を収め、裁判所による不正認定で再投票が行われたものの、やはりイマモール氏の勝利は動かなかった。 トルコの権力層はこの結果を甘受している。だが、プーチン大統領や中国の習近平国家主席は、今後も抗議行動が続いた場合、どのように対応するだろうか。 中国政府はかつて、1989年の天安門広場での抗議行動を武力で押し潰した。4月に香港での抗議行動が始まって以来、香港駐留の人民解放軍は今のところ兵舎に留まっており、抗議への対応は香港警察に任せている。 だが一部の活動家は、犯罪組織によるものとされる抗議参加者などへの暴力的な攻撃は中国政府の意を受けたものと見ており、最悪の場合、天安門事件が再現されるのではないかと懸念している。
プーチン大統領は、2011年末に始まった一連の抗議行動の際は軍の動員なしに切り抜けているが、現在の抗議参加者や野党指導者らは威圧的な雰囲気があるとしており、抗議行動への規制を厳格化する法律も可決された。ロシアの反政権指導者であるアレクセイ・ナワルニー氏は先月、7月27日の抗議への参加を人々に呼びかけた後に拘束され、獄中で毒を盛られたと述べている。ただ国営病院は、毒物検査の結果は陰性だったとしている。
ロシアと中国の両政府は、西側諸国が抗議行動を操っていると批判している。2011年の「アラブの春」や、1980年代後半、共産党支配が崩れた東欧諸国で生じたほとんどすべての民衆蜂起について両国が抱いていた疑念を繰り返す形だ。
こうした疑念は、2016年の米国大統領選挙や他の欧州民主主義諸国の選挙へのロシアの介入疑惑に対して西側が示す懸念と対をなすものであり、理解できる部分もある。米国のオバマ政権も含め、西側諸国の政府は何年も前から、ロシアの反体制派を取り込もうと試みてきたのだ。
その一方で、過去30年に渡り、西側諸国の中では、ロシアや中国などの国は、スムーズではないものの確実に民主化や社会の開放、グローバル化された統合への道を歩んでいるという、暗黙の確信があった。プーチン氏登場後のロシアがこのシナリオの信ぴょう性を揺さぶっても、それは変わらなかった。 ロシア政府に対する批判者らは、プーチン氏による支配は、ロシア最大の石油企業で最大の民間企業でもあったユコスの最高経営責任者(CEO)だったミハイル・ホドルコフスキー氏が逮捕された2003年に、転機を迎えたという。ホドルコフスキー氏は05年、詐欺と脱税の容疑で懲役刑を宣告され、ロシア政府はユコスを接収・解体し、その資産を売却した。 もとより投資家は、ロシア資産に関して、地政学的問題に備えた大幅なリスクプレミアムを織り込んでいる。 香港で抗議行動が弾圧されれば、香港だけでなく中国本土からも、外国企業や投資、人材の急激な流出が起こりかねない。
香港における抗議行動の引き金になったのは、中国本土への犯罪容疑者移送を可能にする条例改正案だった。英国による香港統治を終らせ、香港住民に幅広い権利を認める「1国2制度」を定着させた、1997年の返還協定では明確に禁じられていた内容である。
その後、条例案は棚上げされたが、抗議参加者の多くはさらに大きな変革を切望している。ほとんどの人は香港を離れることはできない。そして現状のままだと、香港は今世紀半ばまでには中国本土の法律の下に置かれることになる。 だが、香港とロシアにおける不満の高まりは、政治や民主主義に関するものだけではない。経済的機会の乏しさ、格差拡大への不満、その他西側社会でもお馴染みの問題が山ほどある。香港における抗議行動は、2011年起きた「オキュパイ・ウォールストリート」運動の香港版から派生した部分がある。
プーチン大統領と習主席はともに66才で、後継者争いはすでに始まっている。抗議参加者など、もっとオープンな社会を切望している人もいるが、そうではない人もいる。そして、スーダンやジンバブエ、エジプトなどの国では、高齢化した指導者の退場後に、抑圧がさらに強まった例もある。 ロシアや中国は国内で不満を抑圧する一方で、対外的に挑戦的な行動とっている。 ロシアは、08年にはジョージア、14年にはウクライナに対して軍事力を行使したが、こうした動きは、功罪相半ばする結果をもたらした。香港の抗議行動を弾圧すれば、台湾の再統合という中国の目標は、いっそう困難な、あるいは不可能なものになりかねない。ロシアがクリミア半島をウクライナから奪取したことは、北大西洋条約機構(NATO)が東欧加盟国の防衛を強化する契機となった。 西側の体制も急速に変化する世界への適応に苦戦しており、ほとんどすべての国民が指導者に不満を抱いている。だが西側民主主義社会で暮らす人々は、西側で独裁体制と見られている国の場合とは違い、恣意的な逮捕や弾圧をさほど心配していない。 西側民主主義社会は開放的であるがゆえに、破滅的になりかねない危機を招くことなく社会の刷新や改革を実現することが可能だろう。また民主国家は、その社会の開放性によって脅かされる、あるいは損なわれるのではなく、むしろそれによって守られていることに気づくべきだ。
開放的でない国家の将来を予想することはより難しい。だが、嵐のなかを無事に切り抜ける道が見つかることを願いたい。
*筆者はロイターのコラムニスト。元ロイターの防衛担当記者で、現在はシンクタンク「Project for Study of the 21st Century(PS21)」を立ち上げ、理事を務める。
*本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。(翻訳:エァクレーレン)
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