世界やそのメディアは、日本のようにバブル経済がはじけて以来、財政金融政策が奏功せず、経済が長期にわたって低迷する状態に陥ることを「ジャパナイゼーション(日本化)」と呼び、悪い見本にしてきた。また日本では、政治的混乱が続き、総理大臣がよく替わって安定した政権ができず政治決断がなされないことも、日本特有の現象と非難されてきた。多くの日本人は肩身の狭い思いをしてきたのではないだろうか。
私はそんなことは余り気にしない方だ。自由主義下で動く「信用経済」は、本質的に負債を過大に増やす方向に向かう。いずれ過大化しどこかの時点でそれを正常化する作用が働く。その作用で落ちた成長を信用拡大下で膨れ上がった状態に戻すのは無理である。
また、政治については、長期的な安定政権を維持しようとすると、歴史的に見て、腐敗にまみれた金権政治になり、安直な大衆迎合路線になる傾向がある。これも、いずれ崩壊に向かう。私は、曲折の中をそんな弊害の是正を試みてきた日本の政治体制のどこが悪いのかと思う。長い歴史の中では、このような経済の低迷や政治の停滞は、日本に限らず、どの国にでも起こりうることである。
そして今、多くの国がそんな政治的混乱状態を迎えている。しかし、リーマンショック時や今、債務限度でもめているアメリカを、今回の欧州国債危機時のギリシャ、イタリアを、ざまを見ろと非難しても始まらない。繰り返しになるが、こんなことはどの国にでも起こりうることであり、日本も、1回経験したからと言って終わりではない。
危機を迎えている国は、多くの国が賄賂が通用する公務員天国だったらしいが、役人がマスコミを支配し高級車で師弟を学校に送迎する中国ほどではない。日本でもいまだに公務員の不祥事はなくならないから、この手の悪事の発生は、人類全体で共通性があり、それもグローバル化している。そういえば、不正経理が発覚したオリンパスが世界から非難されているが、世界の投資家たちは、もっと大きな影響を受けた数年前のエンロン事件などを忘れているのだろうか。他人のことを非難する間に、足元を注意していないと同様の不正も見えないところでグローバル化しているはずだと思う。
そして、世界の流れは、政治家、公務員である官僚、銀行や大企業の経営者、資本家やその代理人であるヘッジファンドなどに握られており、ルールは、彼らが有利なように決めて高額の報酬を得ているというのが、各国で起きているデモの共通の主張である。これも、グローバル化しているのだ。これに対する基本的な政策は、誰も持ち合わせていない。各国の首脳もサミットなどにおいて、そんな目線で協議することはない。それは、例えば、「金融取引税」「信用危機積立金」「国民生活支援低利融資」のようなものの創設であるのだが..。
今朝11/27の朝日新聞の朝刊から...
