“やすらぎ”ワークショップ2011。今年のテーマはずばり……。
FUJIDANA Project!
藤棚を作るぜ計画。
藤棚?
なぜ?
理由は簡単。フジがうちにあるから。……案外簡単じゃなかった。そのフジの話からすると長くなるけど、簡単に。
そのフジの苗を購入したのは、私が「穴場」と呼んでいるご存じ名阪国道伊賀サービスエリア。ここには、信じられない値札がついた掘り出し物がたくさんあるのだ。100円で購入したギボウシ。今年も見事に葉っぱを展開させちょる。まぁ、なんというか、生産農家から直接出てくる「訳あり」苗を購入できるのだ。
そこで買ったのが我が家のフジです。
そのフジ。ネームプレートには確かにこう書いてあった。
「ニワフジ」
……マメ科。コマツナギ属。フジに似ているが、フジはマメ科フジ属。属が違う。そんで、最大の違いは、その名にし負う「ニワ(庭)」。つまり、でっかくならない。つまり、フジといえばあれ、ツルを伸ばしてぐるんぐるんがない。こじんまりとお庭の植栽に収まる。よし!やったぜ。
いや、買ったときにそこまで考えて買ったのではないんですが。
フジに似てるけどツルが出ない、こじんまり、鉢植えじゃ。という短絡思考で、それなりの大きさのテラコッタ鉢に植えていい気分でした。
さて。
この「穴場」なんですが、穴場故の弱点がひとつあって。それは……。品種名とかがはっきりしていないことがある。先ほどの、100円ギボウシ。とてもクオリティの高いものですが、品種分からず。浅い緑葉と、中心に大きな白抜けがはいる少し縮れた葉っぱとか、展開してから初めて分かるのです。ま、それも楽しみ。葉っぱが展開してからのお楽しみ。ニワフジちゃんも、どんな葉っぱが、そしてあわよくば、花がつくのかしら……。
長い前振りです。
去年の春先。ニワフジに葉っぱが展開し始めました。よしよし。
あれ?
あれ?あれ?
ん?
ツルが……ぐいぐい伸びて行くではありませんか。
これではまるで、「フジ」です。私のイメージするとおりのフジのように、“ニワフジ”と名付けられた苗は育ち始めたわけです。これはいかんとにわか作りの支柱を組んで、何とかそのツルの展開を支えて一年を過ごしました。それなりに大きくなりました。ツルの最長のものは、2m近くになったはず。
つまり。
フジですね。これは。
そう認定したいと思います。
ニワフジを買ったと思ったらフジだった。
だったらよ。
藤棚がいるでねーか?フジがぐるんぐるんするパーゴラ。
とんとん拍子に、計画が煮詰まっていきます(私の脳内的にね)。
冬の終わりには、次回のGWワークショップの目玉は「藤棚」だ!と公言しえはばからない妄想オヤジとしての私がいた。
で、作った設計図たち。



だんだん洗練されていって、最終的に、イラストレーターで仕上げ。いつもの2×4材と4×4材を組み合わせたDIY作業です。去年の物置の棚は一番安いホワイトウッドの2×4を使いました。でも今年は外部造作物。故に、材料をおごりました。WRC(ウェスタン・レッド・シダー)材です。家を建てたときの激烈ウッドデッキ製作ワークショップの時と同じ材料です。
http://air.ap.teacup.com/bonpata/487.html
http://air.ap.teacup.com/bonpata/488.html
http://air.ap.teacup.com/bonpata/489.html
http://air.ap.teacup.com/bonpata/490.html
いやーん。2006年当時、4回にわたって「連載」していたのね。いや、本当に大変だったんだから。それと同じ材料を。それと同じ塗装処理をして準備します。オスモのWR(防水防虫防腐処理剤)+オスモワンコートオンリー(エボニー)。色まで一緒。なぜか?それは、そのオスモさえ用意しておけば、デッキも藤棚も同じ塗料でメンテナンスできるから。色変えようかとも思ったけど、これが合理性においても仕上がりの姿においても正解だったと思います。
この設計図を
棟梁に送ります。
棟梁。
そう。
このワークショップに参加してくれる主要メンバーの一人。
DIYレベルではない玄人のワザを惜しげもなく(ビールと焼き肉と引き替えに無料で)披露してくれるアルチザンにどんどん送ってイメージを作ってもらいます。
ま。
結局、来て、見て、そこで最終的にどうするかを判断するってことです。
コンセプトは、一日の作業で完了する造作であること。
今回の“新しいおもちゃ”は……インスタントモルタルです。
土台の羽子板束石をじめんに固定するために今回初めて使います。ウッドデッキの時は、構造体が低いので、倒れることは考えなくてよかったのですが、今回はきちんと固定しようということで、どきどきのモルタルで遊びました。
新しい試みは更にあります。
2×4材という加工性に富んだ素人御用達建材に対して、4×4材の扱いの難しさは、切断の難しさに集約できます。ウッドデッキ製作の時には、あのときの
arg配下の元大工さんが、巨大丸鋸を持ってきてくれたので、4×4が、ガンガンに切れたのでした。いや……あのときも半分ずつだったかなぁ。とにかく一発で切るのが難しい材料なのでした。今回、棟梁に小さな丸鋸を持参してもらいました。これがメイン切断機器として、私も状況を打開すべく、手持ちの切断電動工具、ジグソーのロングブレードを購入しました。スペック的には、厚さ100mmの材料を切断する能力を持つブレードです。90mm×90mmもいけるはず!
結局、惨敗でした。
切れるのは切れるんですが。
あまりの激しい振動に、まっすぐに切断できずにだいぶ修正を余儀なくされてだめでした。
丸鋸を買わなければならないのだろうか……。
ほとんどの作業は、土台の設置と、それに伴う「レベルだし」の作業。
そして、手伝いましたが……私の知識と能力では、この作業、自分で次はやれと言われてもできませんでした。ここに午前中のほとんどの時間を費やし、水糸はったり(私がうれしげに買って用意していた)、下振りもやったり。おもしろかったけど、作業は進みませんでした。何せ、タコを作るのに、いきなりゲイラカイト型にフリーハンドでビニールを切り始める子どもだったもので。「段取り」に弱いです。
ようやく土台が据わる。モルタル練り練り、楽しい。固定。もりもり。
なんか本格的な感じがして楽しい。
途中雨が降り始めて、ぱらぱら一日の作業で終わる……が困難になるかとも思われましたが、何とか、最後の
垂木を取り付け、細部の固定が終わって、完成を見たのでした。
以下、その完成の姿をご覧ください。

道路側の側面。引き込みポールを取り込んでいます。

既存のコンクリート塊。隣地のブロック塀が立ち上がっています。“片足”をそのコンクリートにかけて、もう一方は、植栽の“地面”に、束を立てて柱を立てています。

このコンクリートの“棚”は、鉢植を置く場所としてとても便利です。

側面の図。足下に花壇用のコンクリートブロック。この「藤棚」を作るためにさんざん苦労してレベル出しをしたけど、このブロックはとてもいい加減に並べています。囲みを作ってから土を作っては放り込みます。
んで。今回のプロジェクト最大の目的。

“ニワフジ”(という名札のついた“フジ”)を植えました。。当然、一番まん中のいいところを確保して。
ところがです。
フジを植えていた鉢から株を引き抜こうとして、問題を発見しました。根鉢が回って抜けない。というのなら、想定の通り。逆。根がほとんど失われてしまっていたのです。すかすか。回っていた根鉢は、ほとんどがカタバミ。びっくりして鉢の土をひっくり返して理由が分かりました。コガネムシの幼虫が10匹近く。彼らに大半の根っこを食われてしまっていました。太い根瘤から伸びるいくつかの太い根を除いて……。……危うし。"FUJIDANA Project"。

造作物としての完成度は、私の脳内妄想的に完璧なんだけどなぁ。肝心のフジが根っこをほとんど失って……。それなのに、けなげに新芽をふいているフジの生命力にかけてみたい。

というわけで、藤棚の柱にツルを固定します。

垂木にも、細い細いツルを。そのツルの丈夫なこと!つり橋の材料にもなっていたぐらいだものね。

ここは夏場一日中日照があり、特に強烈な西日にたたかれる植栽です。そのパワーをなんとか成長に結びつけて、うまく育ってくれますように。
藤棚の奥に入ってみました。奥から道路側を撮ります。折しもモッコウバラの季節。

家本体のパーゴラから滝のように咲きこぼれるモッコウバラが、あたかも最初からそうであったように、この“藤棚”にもこぼれかかります。

キシラデコール「やすらぎ」によって維持されている白木のパーゴラと、オスモワンコートオンリーで染められた新作のパーゴラの新旧コントラスト。

離れてみても、最初からこんなふうだったような安定した風景になっています。

来年は、モッコウバラに続いて、「フジ」が開花する。はず。

五月の澄み渡る空に映えるクラブアップルの花で今回のレポートを閉めましょう。
来年の花の宴を楽しみに。