今年のゴールデンウィークの最後に、「イチゴ狩り」に行ってきました。誘ってくれたのは、一昨年社会人になった元クライアントたち。卒業しても仲良しな10人が集まって、奈良で「イチゴ狩り」をという企画が立ったのでした。
ん?

「イチゴ狩り」のはずなのに、何故、石仏?お地蔵さんに……、これは……役行者じゃん。ここはどこ?イチゴは?
朝の10時半に奈良県の桜井駅に集合、そこからバスに乗って私たちが向かったのは、多武峰というバス停。そう、あの多武峰です。今まで、国宝十一面観音菩薩像で有名な、麓の聖林寺には、行ったことがあったけど、多武峰入山は初めてのこと。あれ?くり返すけど、イチゴは?
とにかく、イチゴを求めて、多武峰東大門をくぐって急坂を談山神社を目指したのであった。
談山神社(11時半)→御破裂山(12時すぎ?)→万葉展望台(この辺で14時)→明日香村石舞台(15時)→飛鳥駅(15時半)。
イチゴはですね、最後の飛鳥駅のすぐ近くにある観光農園で“狩り”ました。30分取り放題食べ放題ですが、悲しいことに、最初の10分で確実に飽きてしまいます。この日、イチゴにたどり着くまでの五時間。多武峰山中のハードなハイキングでへろへろに疲れて、到達した当初の目的、10分で終了。ううう。これが人生だ。

写真は、万葉展望台から飛鳥方面を見る。畝傍山が見えて、その手前が甘樫丘。黄砂がひどくて、晴れているのにこんな感じ。降りていくはずの岡地区は、写真の左手手前。
閑話休題。
今回の日記の目的は、そんなハードな山行を恨むことではないのだ。
このハイキングはとってもハードだったけど、とっても楽しかったのだよ。それは……植物いっぱい。花いっぱい。名前も知らない山野草。それを写真に納めてあとで調べようと思って、それをやいやいいながら歩いていたら、ハードな坂道(実は下り坂の方がつま先が痛かった。靴の選択を失敗した。だって、どこに行くか教えてくれないんだもん!!)もなんのその、とても充実した楽しい時間が過ごせました。
山道から写真で拾った植物たちを紹介します。そしてそれを、ネットを中心に調べてみました。名前は推測です。読者の方で、詳しいかた居られましたら、訂正してください。

談山神社への参道脇の明るい日陰は、ご存じシャガ
(射干、著莪、学名:Iris japonica アヤメ科アヤメ属)の花盛り。立派に育って、こんなにいきいきとした花びらを展開させていました。
これはなんでしょう?

これも有名、ミズヒキ
(水引、Antenoron filiforme タデ科ミズヒキ属)やん。いやいや、この写真のコアは、水引の葉っぱの上にいます。そう、細い細い、小さな小さな、「ナナフシ」ちゃんです。なかなか里では見ることのできない珍しい昆虫ですね。

この草花も山道の広い範囲で咲いていました。花の形がおもしろくて、既に実を結んでいたり、蕾だったり、なんだろうなんだろうって、足らぬ頭で知恵を寄せ集めましたが、名前わからず。……実は以下紹介する草花のほとんどが名前がわからず、あとで調べるために撮った写真なのです。名の通った山野草なのだろうけど、何せ素人で。
さて、これは、
ムラサキケマン(紫華鬘 ケシ科 Corydalis incisa)ではないかと。「華鬘」というのが、仏壇とかの飾りで、なるほど、花房の形が、そうした装飾の姿に似ているというわけか。結実したものを見ると、ちょっとカラスノエンドウっぽくて、マメ科?とも思ったけれど、葉っぱの形、花の形が全然違うということで、正体不明のままでした。ケシ科か……。なるほど。

寄って撮っているので、それなりにでかいですが、とっても小さな花弁です。ユリっぽい葉っぱの15cm足らずの草丈。その先の方に、下向きにちょこんとこの花弁がついています。この写真は、そのうつむいた少女の顔をのぞき込むようにして無理矢理撮っています。鋭角的にとがった繊細な花弁。雄しべがそれでもちゃんとのぞいています。清楚な白。
さて、これは?
チゴユリ(稚児百合 学名:Disporum smilacinum ユリ科チゴユリ属)ではないかと推断します。花言葉は、「恥ずかしがり屋」だって。ぴったり!!のぞき込んで写真撮ってごめんね。
どんどんいこう。

林道が開けて、少し明るい草むらにさしかかった辺りにたくさん咲いていたこの、ビカビカの黄色ちゃん。これは有名です。私も知っていました。
ウマノアシガタ(馬の足形、Ranunculus japonicus キンポウゲ科キンポウゲ属)さんです。その色から何となくわかるけど、身近な有毒植物です。ぴかぴか光る毒々しい花びら。
一転。この清楚なうす青の小花。

私の大好きな雑草、キュウリ草の極小青ばなに比べるとこっちの方が圧倒的にでかいんだけど、その造形はそっくり。名前はわからんけど、きっとムラサキ科の植物に違いないと当たりをつける。
調べてみると、一番近いのが、
ヤマルリソウ(山瑠璃草 Omphalodes japonica ムラサキ科ルリソウ属)。ああ、なんてかわいい。わし、やっぱりムラサキ科の植物好きみたい。キュウリ草抜くのつらいもん。ブルネラ・ジャックフロスト、もう一度植えようかなぁ……。とほいめ。
ペースアップ。

これは
マムシ草(蝮草 Arisaema serratum サトイモ科)といいます。その形から、クライアントたちは、食虫植物を想像したみたいです。あ。ポケモンに似たキャラがいるとか言って騒いでいました。
再びキンポウゲ科の植物。

かわいい名前と物騒な名前がくっついています。その名も、
ヒメウズ(姫烏頭 Semiaquilegia adoxoides キンポウゲ科)。最強の有毒野草、トリカブトの別名(漢方薬名)が、「烏頭(うず)」。つまり、ちっちゃいトリカブト。根茎とかがよく似ているらしいです。毒性は……どうなんでしょうね。
これ、気持ち悪くない?とみつけた若者たちが騒いでいるので写真を撮ってあとで調べようと。

ヤマネコノメソウ(山猫の目草 Chrysosplenium japonicum ユキノシタ科ネコノメソウ属)かなぁ……。くぼんだところが花?そこに既に褐色のつぶつぶの種が見えている株もあった。
これは、
ホウチャクソウ(宝鐸 Disporum sessile ユリ科チゴユリ属)でしょうか。

うちの庭にもある、アマドコロとよく似た花をつけますが、ちょっと違う。アマドコロよりつり下がった花房がでかい。寺院の屋根にぶら下がっているあの飾り。「宝鐸」だそうです。あれに似ているということで。アマドコロは山菜なんですが、これは食べちゃだめだそうです。有毒植物。これも、明るめの木陰の下草に群生していました。甘樫丘の展望台に至る遊歩道沿いにも、よく似た植物がたくさん生えていたなぁ。あれはホウチャクソウだったのか……アマドコロだったのか。
これも森が開けた明るい日向の道ばたに咲いていた、暖かい黄色の花。毛の生えた蕾からわかるように、これはケシ科の植物に違いないと当たりをつけて、ネットで調べてみたら……。

クサノオウ(瘡の王 Chelidonium ケシ科クサノオウ属 )じゃないかと。説明によると、茎や葉の切り口から、黄色い粘液がでるらしい。かなり強い毒らしい。でもその名の通り、「瘡」(くさ)=皮膚病に効く生薬として使われていたらしい。麻酔代わりにも使われていたらしい。名前かっこいいよね。こうしてみると、野草、危険がいっぱいだね。
さあ。ネタが尽きてきたぞ。

一見して、ゴマノハグサ科っぽいから楽勝で正体がわかると思っていたら、結構比定するのが難しくて手間取りました。未だ不確かです。とりあえず、今のところ、
ミヤマコゴメグサ(深山小米草 E. insignis Wettst. ゴマノハグサ科コゴメグサ属)ということにしておきます。でも、花びらの色と、花期がずれるんだよね。どなたか知っておられる方、教えてください。
次は、私でもわかる。クライアントたちにしたり顔でこの葉っぱにくっついてるの、何かなぁ?とか質問してみたり。

山野草店でも人気、ご存じ
ハナイカダ(花筏 Helwingia japonica ミズキ科)さまです。これを見せられた元クライアントの若者は、ひっくり返してこの花が落ちないのを見てびっくりしていました。適当に摘んだ花を葉っぱの上に乗せているんだと、本気で思ったそうです。

お。咲いている。小さい花弁が開いている。緑っぽいから目立たないけど。実がならないかな。この実は食用になるそうです。
最後です。この草花の正体がわかりません。どなたかお助けください。

ピンが甘いせいもあって、細部の
看取りが本当に難しいです。花の造形が、ちょっとだけ、西洋雲間草を小さく小さくしたような感じなのだけど、比定できず。
山歩きは楽しい。
ハイキング楽しい。
トレッキングシューズが欲しくなったよう。