別れがあれば、出会いもある……。
法隆寺参道の松並木で、連れて行かれるのを待つPOLO吉。……なんか悲しい。
別れがあれば……出会いもある。のだよ。

POLO吉を載せてドナドナしていくトラックに乗ってやって来たのが……。

この後ろ姿。明るいラテンなブルーのへんてこなフォルムの車。
ルノーカングー1.6オーセンティック5MTでございます。ボディカラーはその名も、ミントブルー。

色も形もオーソドックスな大人しいPOLO吉。まあ、コンパクトハッチとフルゴネット。前者をデフォルメして機能強化したのが後者なわけで、まるで違う出自ではない。

来る者と去る者が、鼻面をつき合わせてしばしの挨拶。
こんにちわ、さようなら。

仕事いく前の慌ただしい納車の儀式。慌ただしく、慌ただしく、カングーに乗り込み、インプレもクソもないままスタート。はや法隆寺インターでETC初体験をすませ、今日の仕事場一路堺市を目指しました。
で、仕事を終えて、職場の山に戻って来て、改めて眺めるカングーちゃん。

今まで所有した車で最も長い車長。POLOより40cmは長いんじゃないかな。家の前の路地が頭をよぎる。

そして後ろ姿。パン屋さんの車?観音開きハッチ。不等分割のデザイン性、それはまったくの実用の発想なんだけど、それがいいです。ただ、日本の交通システムからすると、あんまり意味ないか。左右逆でないと。実は、この観音扉の継ぎ目の太い柱が、ルームミラーの視界を大きく遮ります。逆ならば、視界の大部分を、大きい方のドアが占めますので問題ないんですけどね。右ハンドル仕様を煮詰めるなら右側大扉も検討しないと。でも多分それは大きなコストアップなんだろうな。蝶番のむき出し感、デザインしてますね〜〜巧まざるデザイン。ウレタンバンパーもよいです。

前から見ると特にそう感じるんですけど、車自体の幅はそんなに大きくない。POLOに数センチプラスしただけだったと思う。しかし、サイドミラーが意外とデカ耳なので、狭路は気を使いそう。オーセンティックは、自動折りたたみを備えていないので……。あれは極狭路では威力を発揮したなぁ。でもこのデカ耳になって、ようやくサイドミラーが実用レベルになった。POLO(6N後期)のサイドミラーは最悪だった。使えなかった。パーキングにも不足、進路変更にも不安。それがようやくまともになった。

走りのインプレション。トルクが違います。下のトルクが太い。POLOだとシフトダウンしたい所が、まいける。町乗り、仕事乗りに向いたエンジン特性か。高速でそんなに飛ばしていないから、高回転の特性はわかりません。一応、ならし運転中の意識で、3000回転以下を心がけているし。一日乗ってみての今の所の印象は、回して楽しいエンジン……というわけではないなぁ。むしろエンジンを忘れて運転している感じが。それはPOLOからの乗り換えの落差が大きいのだろう。トルクがしっかり仕事をする実用的なエンジン。今のところ、こうしておこう。

ミッションの具合も、エンジンとなぜか同じ印象。乗り換え直後の慣れないシフト操作が、少し慣れてくると、どうかすると、操作を忘れてしまう。逆に言うと、あれほどがちゃがちゃとかき回して遊んでいたPOLOの操作感、気持ちよさがそんなにないということ。どちらかというと、シフトはしっかり作ってあって、重い。POLOは意外なほど軽くておもちゃみたい。皮卷きで高級感があったんだけど。操作系の軽快さは圧倒的にPOLO。ハンドルがね。重いのです。意外と。径が小さいのです。そして、乗用車のそれに比べて、どっちかというとトラック寄りなんです。つまり上向いているハンドルで。小さな径。慣れていないこともあって、ずるっとなったことも数回。皮卷き、これも欲しかったなぁ。
すばらしいこと。
足。
よく粘る足。POLOはよくバタバタしていた。それが味なんだけど。カングーの足は、ねちっと粘って、あんなに細いタイヤなのに、まったく不安を感じない走り。これもちょっとタイトなワインディングに踏み入れてみないとわからないことだけど、POLOだと減速してやり過ごした大きな段差を、ふわっと越えていった柔らかく懐の深い足回りのしつけ方に感心しました。
シート。
腰痛持ちのわしにはこれは大きい。モチッとしっかり、背中全体を包むようにささえてくれます。評判通りのシートかと。しかしこれもロングドライブで評価をしないと何とも言えない所です。

ミントブルーのボディカラーと溶け合う秋の空。
これからのことですが、【鍵】をどうするか、考えよう。いろんな【テスト】が行われているみたいだし。それから、重要なことですが、荷室をどう使うのか、まったく何も考えていないのです。POLOや、これまでの車が確実にそうなったように、【移動する物置】になりかねません。今回の物置はでっかいので、その悲惨さはこれまでの比ではありません。さてどうするか。車中泊設備(ベッドですな)を考える人も入れば、見事なユーティリティを作って、道具の整理整頓をされている人もいる。はて?わしに何かそんなもの必要やったかなぁ……。営業用の書籍(主に教科書)をいつでも使えるように。移動書斎。……悪くないぞそこコンセプト。

と、この車に関わっていくことで、そんなふうにいろいろなアイディアを練っていく面白さが生まれてくる。これがこの車を持とうと思ったきっかけと言うことになるでしょう。今までの生活から何かを放棄し、失い、新しい何かを、別の形で得る。

Bonjour Kangoo!
これからよろしくね。