久々の社会派記事(になるかどうかは不明)。CATVが新居では見ることが出来る。
でもチャンネルいっぱいすぎて、あまり活用されていないかもしれない中で、一番頻繁に見ているのが、アニマルチャンネルの動物警察。
ペットを中心とした動物虐待を摘発し、立件し、起訴して……、まあ、動物に対する犯罪を専門とする敬作組織。NPOみたいなものなんだけど、州の法律だかなんだかで彼ら彼女らは、銃で武装し、手錠をもって普通の警官と同じように、捜査や事情聴取や逮捕をして、まあその名の通り、動物警察。
市民からの通報で、動物虐待の現場へ出向き捜査、悲惨な状態の犬や猫を保護……。とまあ、進んでいく、警察動向密着度キュメンタリー動物版。
すごい面白い。
アメリカ、すごいな。
ペットの虐待事件に、これほどの税金が投入され、多くの寄付が寄せられている。何しろ、無料で避妊手術が受けられるプログラム、移動手術車。警察の附属のクリニック。シェルター。訓練施設。「物語」の進行に伴って登場する充実した施設設備、スタッフスタッフ……。つまりね、すごいのよ。こういう言い方は語弊があるのはわかっているんだけれども。ペットの生存権保護にこれほどの心配りが出来る国の豊かさを否応なく感じてしまうわけ。
その反面、というかそれに随伴してどうしても感じてしまうことがある。
ペットにこれだけお金をつぎ込めるんだから、この国の人権保護プログラムは、どれほど優れているんだろうって……。
ところで、動物虐待犯人として手錠をかけられ、うなだれてパトカーに押し込まれる連中は、ほとんどが黒人で、ダウンタウンで、たいてい家がめちゃくちゃ。一言で言うと、貧困層。
さて、現代アメリカの社会階層について怒り持て告発するのはマイケルムーアにお任せするとして、「格差社会」のお手本、未来予想図(もちろん日本にとっての)アメリカの縮図が、この動物警察の物語にもしっかり描かれるわけで。
動物は友達さ。
クジラもイルカもとっても賢いよ。
かくて動物の保護のために富裕層の莫大な資金が流れ込む。
資本主義の国だもの。
資本主義は「差異」を餌に肥え太る。彼らが共産主義を心の底から恐れたのは、それが全体主義で人権抑圧のシステムだからではない。それは副産物にすぎない。理論的に「差異」をゼロにすることを目標に据えたシステムは、本質的に資本主義の敵となる。
つまりね。
動物警察は、こんなにも賢くかわいい、(そして従順な)動物を虐待する社会のクズのような黒人を摘発するが、彼をして社会のクズの位置に置かしめた、彼をそんなふうに虐待した張本人を告発はしてくれない。
そのパラドクスの面白さ。多分ある種の人間にとって、イルカや犬の方が、暴力的な黒人やヒスパニッシュとは比べ物にならないぐらい大切なのだという、元も子もない構図。
がんばれ動物警察、その大活躍の向こうに私たちの各社社会の現実を如実に描き出してくれる。君たちはそのためにこそ活動しているのだ。
がんばれアニマルポリス!
とひねた読者がつぶやきます。