GWを前に、いろんなことを考えなきゃいけないんだなぁ……。しかし、年度当初からのスタートダッシュ、なんとかたどり着いたという感が強い。へろへろのままようやく漂着したGW、あ、もちろん来週の月火は、クライアントに鬼と呼ばれようともちゃんと授業しますよ。誰も来てなくてもすっからな。
というわけで、
モノモノさんの家具スケッチ第三弾です。ベッドの意匠、固まりつつあると言っていいでしょう。

浮きフローリング。前回は俎板状でしたが、マットなり布団なりを敷いたときの放湿性能に難ありなので、やはり、簀子機構を取り入れます。で、それをどう浮き床に組み込むのかの機構をあれこれ考えているのがこの図です。ポイントはですね、この簀子の高さレベルを、その上に敷き込む寝具の厚みを勘案して可動式にするということでしょうか。マットレスなら簀子を低く固定して、敷き布団なら高く固定して……。このサイズシングルの寝具にあわせて簀子をセッティングするのですが、もしもセミダブルぐらいの一回り大きい寝具が使いたければ、浮きフローリングと簀子が同じレベルにそろうようにする……なんてことまでこのメモにはきめ細かく書いてあります。つまり、いずれにしても、基本的に敷き寝具の上面を浮いたフローリング材とできるだけそろえてあたかもフローリングに直敷きを演出する。結果この浮遊する床の【薄さ】が際立ち、その浮遊する感じはさらに強調されるであろう。
はじめに床と同素材の浮いたフローリング台というコンセプトができるや、それをベッドとして実現するために工夫が凝らされる。
「住まい手の立場から住宅を考える。」というサイトのBBSで建築家の飯塚豊氏の書き込み(Date:2006/04/17(Mon) 22:38 No.925)で紹介されている建築家
森山高至氏の言葉(孫引きすみません)。
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・・・一方建築家は作品性やそこから表現したい建築の批評性について施主と施工者に真摯に説明しているでしょうか・・・機能性の説明に転嫁して逃げていないでしょうか・・・ということで、建築作品を目指すケースであれば、決して「親切設計」を売りにしてはならないということが証明されます。むしろゴリゴリに建築論をぶつけた方がよいということになります。・・・
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もやもやと思っていたことを言い当ててくださいました。柿食えばハウスも、回遊性やパーゴラ、スリット採光……何にしても、建築論としての筋の通し方(悪く言えば能書き)を建築家から引き出したところで、自分の中ではGoサインが出たような気がします。これを機能で語られたら多分納得しなかったとは言えないけれど、納得に時間がかかったと思います。このベッドも、動かないもの(家)と動くもの(家具)という二項対立を、動かない家から床のシンボリックな表象としてのフローリングをひっぺがして浮遊させてみようという、ポストモダン的陰影をつけていく戦略に基づいています。そんなデザインコンセプトが、建築家から語られたことで、私のイメージが動き始めたのは事実です。マットから出る湿気を逃がすために簀子構造が必須ですよ、という機能の検討はそのコンセプトを具現化するための方途であって、両者は決して顛倒しない。へっぽこであり変態である施主ならではのことかもしれないけれど、
前に、機能を積み上げていく家作りはしんどいと書いたことにこれは通じている。「建築を機能に還元してしまうこと」への脱構築的抵抗の企てなしに、住宅の普請と言う身の程知らずの無謀なプロジェクトを発狂もせずに遂行する自信がない。