しばらくさぼっている間に、現場はどんどん進みます。新年度に入って早々、現場で「電気工事」と「水道工事」の打ち合わせです。電気設備、水道設備関係の具体を打ち合わせると、だんだん生活のシーンが見えてきて、(決めるのは不安でもあり煩わしくもあるのですが)楽しさが増します。

しばらく見ないうちに、外壁にタイペック(透湿防水シート)が施工されていました。みるみる張られていきます。この上に、通気胴縁がきて、デラクリートセメントボードが外壁下地です。

なんと、既にサッシが入っていました!泣きの涙であきらめた北側開口部にもアルミサッシが入っています。特徴的な開口部に縁取りができて、さらに表情が出てきました。

中に入るとさらにびっくり!断熱材(グラスウールt100 16k)の充填もほぼ完全に終わっていました。室内側からの湿気を入れないためのフィルム入りのグラスウール。ぎっしり詰め込まれています。断熱材が入ることで、外との遮断性がまして、家らしい感じになってきます。

二階。おお。すでに内装の架構が始まっています。この写真に写っているのは、私の部屋から奥さんの部屋方向をとったもの。実は二階の西側と東側では床レベルも、天井の処理もまるで違うのです。西側の私の部屋は、構造用合板現し、一階天井がそのままフローリング下地。ところが東側居室は、このように、床レベルが30cm
あげてあります。そしてこの隙間に収納の開口部が設けられます。後々には、和装をしまう桐の収納ボックスをこの空間におさめる予定。

サッシを室内側から見る。一階リビング。曇天ではあったが、北側の庭も開口部からの光量も、意外と明るい。充分柔らかい光が存在している。

翻ってこれは二階南側サッシ。好天であれば、もっと光量があるように思うけれど、防音シートを隔てているせいもあって、暗い。南側はできるだけ絞り込んだスリット状の開口部。そこからさーっとビームのように直射日光が部屋にさしいるのを見るのは、結構楽しい。ものの陰影がきっと強調されて、不思議な空間が現れそう。

外構では、東側隣地境界の土留め塀、わずか4段のものですが完成しています。何のてらいもない普通の塀ですが、きれいに施工されていて、なんか美しいラインを感じてしまいます。根元をはぎ取られたヒマラヤ杉も、これで土を埋め戻してもらえることでしょう。それにしても、塀からパーゴラまで、しっかり通路としてのスペースがありますね。単なる通路にするのは当然もったいないので、色々やりますよもちろん。ここら辺がこの家で一番日当りのよい場所であることは既に判明しているので、おそらく新規の植栽のいくつかがこの通路に配されることでしょう。
さて問題です。

これは何をしているのでしょう?
古い土塀におかれた、数枚のパネル……。そう、このパネルは外壁プラスター材のサンプルです。その色見本です。外壁の色を決める作業をしているのですが。いったい背景の土塀は……その名を
西院大垣と申します。南大門から東大門……西院伽藍をぐるっと回っている土塀。重要文化財です。

この西院大垣から数十メートルのところにある我が家。外壁の色は、できれば、この土塀の色に近づけたい。そういう注文を出していたのでした。それをイメージしてサンプルを取り寄せ、骨材の種類や仕上げるこての種類などマチエールの違うものを何枚かおいてみたのです。最初は家の壁のところでやってみたのですが、よくわからなかったので、工務店社長と建築家と三人で、大垣のところまで歩き、そこへ並べて検討しているの図です。この二枚が、今のところ最終選考に残っています。竣工時の色合いだけでなく、埃をかぶって煤けていった先に、西院大垣のテイストが待っているのかどうか……それを見極めるのは至難の業で、決定は持ち越し。なかなか贅沢な打ち合わせと思いませんか?
雨の気が迫る夕方、現場を後にしました。