……こう書くと、なんだか新鋭建築家の作品っぽいです。
先日見に行った物件。まさしく、【崖の家】でした。
というか、西に変な物件ありと聞けばとるものとりあえず見に行き。東にクズ物件出しと聞けば、馳せ参じあれこれと夢見る。不動産の下手物食いっぷりが、今回も出てしまいました。この物件、敷地面積は、140坪。価格1500万円台という破格(だいたいその条件で気づけよという話です)。不動産に破格なし。すべてゆえあっての値段です。という分かりきったことを、どうして忘れてしまうのか。
ま、インターネットの物件情報に付された平面図の段階で、【有効建築面積】45坪となっていて、残りの敷地は、【法面】とある。おもしろそう……と思うのは私の悪い癖なのです。半年以上前から出ている物件なんですね。そりゃそうだろ。
というわけで、業者に連絡しました。で、行きました。でもおかしいです。ちっとも乗り気でありません。というか他の物件を勧めようと必死です。が、しかし元々その変な物件を見たくて来ただけで、捜しているエリアと違うので、なにを差し出されても、食指は動かんのです。
仕方なく、若い営業マンは、車を用意してきますと動き出しました。
近鉄学園前からバスでつながれている小高い丘陵地に拓かれた住宅地。生駒山塊からなだらかに大和盆地へと下っていく、素敵な眺望。その住宅地の丘の「縁(ふち)」。その家は建っていました。間口、9メートル弱、隣家との境がかなり複雑に入り組む。その反対側には丘を下っていく遊歩道があって、それが途中から階段になって、下の小さな河原までおりていく。
問題は、その【法面】だわさ。それを見に来たんだもの。
【法面】???
崖じゃん……これ。
擁壁もなし、法面保護の計画的な植樹もなし……。(かさこじぞうふうに)
ゲレンデで言うと、上級斜面です。その【崖】がざっと20メートル弱ぐらい……。
「この法面を、どう工夫して建築するかがポイントですね」(営業兄ちゃん談)
……ってなんだよ。擁壁工事だけで予算使い尽くしちゃうよ。
隣の家は、かなり大規模な擁壁を建てて、有効な敷地を増やそうと腐心しているようでしたが、とてもそこに建築物を建築する気にはならんわな。支持層まで30メートルですとか言われたらねぇ……。もっとこう、ゆるゆるした斜面を想像してたんだよなぁ……。
だめだこりゃ!
次行ってみよう……。こんなのばっかり。
冒険は続く。