実は家探しが膠着状態。
頭の中が硬直しています。前にここで報告したように、奈良市某所の土地物件(築年未詳の古家が建っている)を再検討!していたのです。厳密には今もしてはいるのです。が……。膠着。何故か?
ひとつは、資金計画が不明確。これは、仲介不動産屋の営業方針と深く関わっているけれど、ここは基本的に「ハウスメーカー」で家を建築するものと決めてかかっている。そして、住宅ローン商品を売る銀行もまた、「ハウスメーカー」を前提に、すべてのカタログが作られている。見事に……。工務店工事の場合、ローンが通らないとか、減額されるとか、不利なことがどんどんでてきますよ〜〜。と脅される。不安になる。実際、某都市銀行に聞いてみる。はたして同じことを言われる。どどーんと凹む。ヘコ……。
だから、ハウスメーカーとは契約しないって言ってんじゃん。どうやったら、ローンが組めるか、その条件で提案しなさいよ!と思うが、向こうもそんなにやる気がないみたい。
もう一つは、やっぱり古い土地柄……。周辺の開発された住宅地ならいざしらず、都市化が徐々に進む奈良町など旧市街地でさえ、当然近隣との関係は大きな問題です。まして、この物件があるのは、そうした市街地からちょいとはずれた、ほんのちょいですけど、はずれた土地。奈良町屋の古い家並みが、旧街道沿いに立ち並ぶ場所です。地元の知り合い情報は、その辺芳しくありません。新しい人が、おいそれとは入れる土地ではないのではないかという評価。(そういえば、この土地物件、一年以上前からずっと売りに出されているけど……うごいていませんねぇ……)予想はしていたものの、目の当たりに、そうしたことばを受け止めると、これまたどよーんとなるわけです。
それで、打開策……なんですが、新たに不動産屋さんにいきました。
奈良町で工房をしておられる知り合いが、紹介してくれた不動産屋さん。奈良町の町屋物件の売買や、それこそ、工房やりたい、カフェやりたいという若者なんかの賃貸物件やら、改修、新築等々、奈良町のいろんな取り組みをサポートする不動産屋さん……(あくまでイメージです。たぶん当たっていると思うけど)登大路に面した。小さな、小さな事務所に行くと、よくしゃべるおじさんがどんどん話をしてくれて、そこが手がけたいくつかの物件に案内してくれるということになりました。「奈良町周辺に住まんのやったら、奈良に住む意味ないでしょ」という明快なお言葉。そうかもしれません。何軒か、外側からだけですが、見せてもらいました。お店やってはるところ、住宅。改修住宅、新築住宅。
でも、正直、なんかピンと来ないんだよね。
それは、こんな町のど真ん中に住む気持ちになったことがないせいだろう。折しも日曜日、4メートル足らずの奈良町の道には、観光客であふれかえっちょります。富田林寺内町、ちょっとは見習え!しかし、こんなところに住まうイメージがどうしてもわいてこない。いくつかの理由があると思う。それは、家のイメージを、まったく変えなければならないということ。これまでずっと郊外の住宅地の中古物件を中心に見てきたこともあって、60坪以上の土地に庭がきちんとあって、床面積も35坪以上。隣家との空間もしっかり確保されている。私の中の住まいのイメージは、きわめて貧困だけど、そんなふうにできあがっている。土地の坪単価、最高でも30万円台。奈良町周辺で探すとなると、売りに出る土地建物の広さが、30坪を超えることは珍しい。坪単価も当然だけど、60万から70万。取得できる物件の規模を、以前の半分にしないとどうしようもない。もちろん、大家族でもなし。以前は70平米のマンションに家財道具詰め込んで生活していたのだから充分といえば充分なのだろう。しかし、一旦できあがったスキーマを壊すのは容易ではない。殊、コンセプトではなく、わかりやすいディテールでイメージを妄想してしまうフェティッシュな私の思考回路では、固まった意味づけのシステムを更新しにくい。
そんなこんなで、立ち止まったまま、硬直している。
プロジェクトは膠着している。
打開策はあるのだろうか。
ああ……。一時はあの物件で手を打つ気持ちだったのにね。「不動産購入申込書」を手にして、書いちゃおうか……って思ったのにね。