昨夜、土曜に控えしライヴの準備などせしめんと自室に入りましたるところ、その室内の散らかり様たるや誠に筆舌に尽くし難く、先ずはライヴの準備をする前に、部屋の整理をばせんければならぬ状況に陥ったワケでありまして、深夜憚ることなくそこかしこに散乱しけるCD、MD、ギター弦の空き袋、スーパーの買い物袋、仕事用書類、使い古しのピック、などなどを片付けつつ、ふと目をやると片隅にケースに入ったままの楽器6本。忘れ去られた楽器6本。
こは何ぞ? とその1本のケースを解きますれば若かりし日に使用しておりましたるバイオリン・ベース。
おおっ、こはいかに。まこと懐かしや。
初めてバンドなるものを組んだ高校1年生の折、ポール・マッカートニーに心酔しておった自分。16歳のガキに本物のヘフナーなど買える金があろうはずもなく、グレコ製をもってしても高嶺の花なるや、必死で貯めたなけなしの銭で購入せしはフレッシャー製。当時3万円也。
むろんその頃にあってはベースの弦に種類があろうなどと知る由もなく、その辺の楽器屋で一番安いベース弦をば購入いたし、その音の違いと弦交換の面倒さにもめげることなく、平然と悠長に、ラウンド・ワウンド、ロング・スケールの弦でポールになりきっていた青さ極まりなかったあの頃。
フラット・ワウンドなる存在を知りし折には、文化大革命並みの衝撃をば受けん。
なればこちらのケースは、と解きしは予想せらるる通り。フェルナンデス製RB80PMなり。
リッケンバッカーのレプリカモデル数々あれど、このフェルナンデス製の初期物、かなり精巧にポールのリッケンを再現したること、今に及んで驚くことしきりなり。ボディ角の面取り、ポジションマークなど、そのサウンド以外においてはかなり緻密な出来なり。
ベーシストは音楽人の中では特に稀有な存在のパートの一つであること間違いなく、そは我が若き日においても例外なく、よって自分はこのベースをもってして、ビートルズ、ウィングスはもとより、ボンジョヴィ、ジャーニー、ハウンド・ドッグやラウドネスなどのカヴァーバンドセッションに参加したこと、これまこと懐かしき思い出脳裏によぎるなり。
続いて解きしケースの中身はフェンダージャパン製ジャズベース。
クセの無いベースが必要になった折、購入せし代物。
ここまできて
はっ と我に帰ったのであります。
アカンアカン。古い楽器出して眺めてる場合やありまへんがな。ライヴの支度ライヴの支度。
ベーシストとして5〜6年。自身のベーシストとしての限界を知らされ、ベースという楽器の奥の深さに脱帽し、その頃のヒーローがキース・リチャーズだったことも相まって、結局自分はギタリストに転向してしまうワケですが、しかしながらやはり今もってベースは好きです。
クセというのは恐ろしいもので、ライヴで演奏しててもスタジオでセッションしてても、聴いてしまうというかアンサンブルの中で頼りにしてしまうのはやっぱりベースの音。ベースの音が一つ抜け出て聴こえてくると安心なのです。 良いことか悪いことか分かりませんが、ライヴ時にもPAさんに「僕んとこのモニター、少し大きめにベースの音返して欲しいんです〜〜」と言ってしまいます。まあ本番時に希望通りに返ってきたことはほとんどありませんが・・・(苦笑)。
初心者のためのバンド講座!!ではありませんが、ドラムとベースがしっかりしたバンドはそこそこレベル高く聴こえます。 これはドラムとベースがバンドの中ではその「ボトム」となる部分を握っているからなんでしょう。
特にベースはドラムとギターなどのメロディ楽器の間の架け橋とでも言いましょうか、取持ち役とでも言いましょうか、そういう意味でも最も重要なパートです。
時にリズムにグルーヴを加味する・・・、時にコードに厚みを持たせる・・・、時に絶妙にメロディーに絡む・・・、時にその曲全体の雰囲気すらベーシストの曲に対する解釈やフレーズのみで決まってしまうことだってあるワケです。
うう〜〜〜ん、やっぱり奥が深い。
なんてな事を考えていたらライヴの支度は結局何もできませんでした。
お疲れ様でした。
PS、久しぶりにベースを少し弾いてみました。
JRBのベーシスト、うっちぃ氏が時折言われる「ギター脳」と「ベース脳」・・・。とてもよく理解できました。 全然弾けなくなってました(泣)。

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