僕がまだ 「学生さん」 をやっていた頃、よく深夜のラジオ放送を聴いておったワケですが、その当時世良公則氏がDJをつとめる番組の中で流れた曲が彼らとの最初の出会いでありました。
BLUESに徐々に傾倒しつつあった当時 「学生さん」 であった僕は、BLUESフィーリングの感じられる曲であれば、耳にするなりそのアーティスト名を紙に書きとめ、翌日にはCDショップに走る・・・という、「学生さん」 ならではの贅沢な金と時間の使い方をしておりました次第です。
で、その時もやはり例にもれずCDを買ったのがこの 「ドクター・フィールグッド」。
英国のバンドでありながらアメリカ南部の匂いを存分に漂わせ、しかも全編から醸し出されるパンキッシュな雰囲気。 僕はすっかりそのサウンドの虜になり、彼らのCDを買いあさりました(まあ買い「あさる」ほど枚数出てないねんけどね・・・)。
フィールグッド好きなかたには、比較的 「ウィルコ・ジョンソン派」 が多いかと思いますが、僕はもちろんウィルコも良いですが、断然 「リー・ブリロー派」 です。
彼の野太くややハスキーなダミ声。時折演奏してみせるブルース・ハープも心を揺さぶります。
惜しむべくはリー・ブリローの死を知らなかったこと。
彼が亡くなったのは94年。
ちょうどその頃は僕が 「音楽的休眠期間」 の真っ只中。 全ての音楽的情報から遠ざかっていた時期でありました。音楽的鎖国状態にあったのです。
95年の終わりに何かの雑誌の記事でたまたま読んだフィールグッドの話題。 「フィールグッドの新録ニューアルバム発売」 「ニューアルバムは渾身のライヴ盤」 「ブリローの遺作」 ・・・・・遺作!?
彼はこのライヴの約2ヵ月後、亡くなっていたのでした。
いてもたってもおれず、僕はすぐさまこのニュー・アルバムを買いました。
喉頭癌をおしてのステージ。 がりがりに痩せて見えるそのアルバム・ジャケットのブリローの顔も相まって、ステージでの様子は声を聴くにつけ鬼気迫るように感じます。絞り出すかのようなその声。
しかし僕はこのアルバムが最も好きなんであります。純粋なフィールグッド・ファンには怒られるかもしれませんが・・・。
ウィルコ・ジョンソンもいない、リー・ブリローもいないドクター・フィールグッドは、オリジナルメンバーが一人もいないままで、今現在も現役で活動を続けています。
でも僕のドクター・フィールグッドは94年に終わったのでありました。
リー・ブリローありがとう。

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