長野県茅野市の諏訪中央病院は、6月から分娩の取り扱いを再開すると正式発表した。
記事は次のとおり。
諏訪中央病院が6月出産扱い再開発表 産科常勤医2人確保
2008年5月1日【信濃毎日新聞】中南信ニュース
茅野市の諏訪中央病院は30日、常勤の産婦人科医2人を確保できたとし、昨年4月から休止していた出産の取り扱いを、今年6月から再開すると正式発表した。1人は前上田市産院院長の甲藤一男医師(57)。県医療政策課によると、産婦人科医不足が問題視されるようになった近年、出産の扱いを休止し、再開する例は県内で初めてという。
甲藤医師は体力面などの理由で、同産院を昨年末に退職していた。諏訪中央病院によると、常勤の小児科医3人、麻酔医3人、助産師8人がいて、産婦人科医の支援体制があることなどから、甲藤医師が就任を了承したという。
もう一人の常勤産婦人科医は、すでに明らかにされていた同病院統括診療部長で、産婦人科医の経験がある吉沢徹・内科医(46)。ほかに2人の非常勤医も確保した。
同病院は休止前、年間300―330県の出産を扱っていた。休止後は婦人科外来だけを続けてきたが、昨年末以降、茅野市や原村で開いた住民との懇話会で、住民から「近くで産みたい」という声が多く出ていたという。
この日記者会見した浜口実院長は「県内や諏訪地方で産科施設が一つでも増えるのは喜ばしいことだ」とした。吉沢医師も「地域医療の中で産科は悲惨な状況になっている。力を尽くしたい」と話した。
(記事ここまで)
記事にある諏訪中央病院は、私が働いている病院だ。吉沢徹医師は内科医として一緒に働いてきた。内科医になる前の産婦人科経験も十分あるが、地域のためにと産婦人科医に戻ることを決断してくれた。しかし産科をめぐる状況は、内科医に転身した頃に比べて非常に厳しいものになっており、地域の人たちを含めてみんなが支えていく体制を取らなければ、長く続くのは難しいかもしれないと思っている。私も微力ながら支えていきたいと思う。
上田市産院の状況はそれぞれの言い分があると思うので、どちらの味方をするわけでもないが、各地で産科事情が逼迫している中で、他の地域の人材を引き抜いてきた形になってしまうのは心苦しい気はする。しかしそのような形を取らない限り常勤医を確保できないのが、今の産科の実状だ。病院の産科で常勤医が2人というのは、決して十分な体制ではない。できれば常勤3人体制にしてほしいと思うが、そのような人がどこかにいるものだろうか。
どうか無事に、安全で幸せなお産をたくさん生み出してほしいと思う。地雷が埋まっていませんように。地雷を避ける運と実力と勘が働きますように。