厚生労働省は、4月からの限定的に混合診療を認める制度を開始すると発表した。このブログで「この方向の部分的解禁なら認めても良いのでは」と言っていたのと、ほぼ合致する内容。
記事は次のとおり。
混合診療を限定容認 4月から未承認薬の高度治療で
2008年03月26日22時52分【Asahi.com】
厚生労働省は4月から、未承認の医薬品・医療機器を使った高度な治療と保険診療を組み合わせた「混合診療」を、限定的に認める制度を始める。病院が提出する治療計画を厚労省が事前審査するなどの条件つきだが、海外で広く使われている治療薬が国内で未承認のため重い自己負担を強いられている難病患者らにとって、負担軽減につながる可能性がある。
26日の中央社会保険医療協議会(中医協)で承認された。
患者が保険適用外の診療を受ける場合、混合診療を原則禁止している現状では、同時に行われる保険診療についても全額患者負担になる。
新制度で混合診療を認める対象になるのは、国内外で一定の使用例があり、薬事法の承認を目指している治療薬や機器。大学病院など高度な医療を提供できる機関が治療計画を添えて申請し、厚労省が審査する。いったん認められれば、その病院での同じ治療は、混合診療が可能になる。
治療に伴うデータは、後に製薬会社から承認申請があった際に安全性や効果を見極めるため活用する。予期せぬ副作用などが起こった場合は公表し、安全対策に生かす。
新制度は、06年の制度変更によって、それ以前は可能だった高度先進治療での未承認薬を伴う混合診療が一律禁止されたことへの対処を含む。がん治療の一部など18種類の治療法は、今春までの時限措置で例外的に混合診療が認められていたが、新制度では正式に認められる見込み。
(記事ここまで)
これまでも混合診療は全部禁止されていたわけではなく、基本的診療内容にかかわらない「差額ベッド代」とか、保険適用されるかどうかまだ不明で高額な「高度先進医療」など、限定的に実施されてきた。今回も限定的な実施だが、この内容であれば
「混合診療禁止は違法」とした昨年11月の東京地裁の判決とも矛盾は少なくなる。
今回の方針で対象となるのは
「国内外で一定の使用例があり、薬事法の承認を目指している治療薬や機器」ということで、結局は3月末で期限切れになりそうな18技術について、継続して混合診療がおこなえるようにして患者の不利益を回避しようということなのだろう。
若干気になるのは「薬事法の承認を目指す」という部分。薬事法で承認されたとしても、保険適用・薬価収載されるかどうか、つまり健康保険が使える技術になるかどうかは、また別問題である。これまでは薬事法の承認と保険適用・薬価収載は事実上セットになっていたため、そんな心配はしなくて良かった。しかし混合診療が解禁されると、薬事法さえ通っていれば保険適用されなくてもその技術は使えるようになる。なぜ「薬事法の承認並びに保険適用を目指している技術」としなかったのか。もしかしてそこには裏がないか。
今回の方針を、規制改革会議などが納得するなら、このままでも良いと思う。しかしこの「薬事法」のところに混合診療なし崩し解禁の突破口を求めているのなら、つけ込まれないための方策を厚生労働省は練るべきである。どうも今までのやりとりを見ていると、医療に関して規制改革会議も大したことは言っていないのだが、厚生労働省はそれにすら負けている気がする。