「ナガノ・チェンバー・オーケストラの『英雄』など」
出来事日記<音楽>

2月12日(日)午後2時から、ナガノチェンバーオーケストラというオーケストラの演奏会があり、聞きに行ってきました。期待していた以上の演奏でした。指揮は“スタジオジブリ”の映画音楽で有名な久石譲さん。

演奏するのは、日本各地のオーケストラでトップ奏者を務めるなど、優れた実力を持つ人ばかり。
最初に演奏したのは、久石譲さん作曲の「Encounter for String Orchestra」という、弦楽合奏のための曲。エッシャーのだまし絵を中心に作られた弦楽四重奏曲の1曲目を、弦楽合奏のために編み直したものらしいです。現代曲はきちんと弾かないと狙いがボケてしまうものですが、演奏家の確かな技術に支えられて、狙いが鋭く表現されていました。
次に演奏されたのが、ベートーヴェン作曲交響曲第4番。私も以前演奏したことがありますが、解釈が古典的で緻密。久石譲さんは多分、ベートーヴェンのことが相当好きなんだろうなと思いました。第1ヴァイオリンの人数が多かったせいか、ホールの特性なのか、弦楽器と木管楽器の音量バランスが良くないところがあったのが、ちょっと残念。
休憩をはさんで後半はベートーヴェン作曲交響曲第3番「英雄」。これを聞いて、久石譲さんはベートーヴェンが好きなんだと勝手に確信しました。切れ味の鋭さ、音の形、構成のバランスやメリハリなど、コンセプトがとてもはっきりしていた演奏だったと思います。また聞きたい。
アンコールは「魔女の宅急便」メドレー(だと思う)。毎回編曲し直すんでしょうか、私が知っている魔女の宅急便とは、楽器の構成が違っていました。でも構成もバランスも、さすがでした。
久石譲さんの指揮は、作曲家としての片手間の指揮ではなく、意思が演奏者にきちんと伝わる、エネルギーを節約していないし技術がしっかりした指揮だと感じました。真面目な方なんでしょう。それと、ベートーヴェンの交響曲について、曲全体を見渡した上で「ここが言いたいところだろう」というパーツを浮かび上がらせて、くっきり表現していく。明快なベートーヴェンでした。

ティンパニはシュネラー式っぽい、ハンドルで音程を変えるもの。バロックティンパニっぽい響きは、おそらく久石譲さんが求める音なのでしょう。

休憩後は、右と左にバロックティンパニが1台ずつ増えていて、英雄では2台あれば十分なので、アンコール曲が用意されているんだなと思いました。
アンコールでティンパニストの岡田全弘さんは、右手で叩きながら左手は瞬時に音程を変えていました。この技は、ハンドルで音程を変えるティンパニでないとできません。太鼓をたくさん用意すればできなくはないですが、残響があると音が混ざって汚くなるので、この方法がベストでしょう。
ベートーヴェンの岡田全弘の音は、私が欲しかった音でした。どのような撥で叩いているのか知りたいと思っていたら、演奏会終了後に岡田さんがロビーにいて、聞くことができました。頭の部分も木でできている撥で叩いていたとのことでした。なるほど。私が持っている木の撥は、岡田さんが使っていた木の撥より頭の部分が大きいので、今度打楽器屋さんに行ったときに探してみよう。
演奏会場の長野市芸術館メインホールは初めて足を踏み入れましたが、約1300席のそれなりに大きいホールですが、音の響きも迫力もちょうどいい感じに聞こえる、音響に優れたホールだと思います。
「ナガノ・チェンバー・オーケストラ」が恒久的なオーケストラなのか、ベートーヴェン全曲が終わったら解散してしまうのかは知りませんが、少なくともあと1年以上はさまざま演奏会を届けてくれるようです。会場の長野市芸術館は職場から歩いて2分ほどのところなので、可能な時には聞きに行きたいと思います。
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