中央社会保険医療協議会(中医協)の分科会は28日「療養病床の診療報酬が安すぎる」と同じ中医協の診療報酬基本問題小委員会に報告した。中医協は診療報酬の設定(医療の値札付け)に絶大な権限を持っていると思っていたが、今はどうもそうではないようだ。
記事は次のとおり。
診療報酬に異例の批判 療養病床、点数見直しも 中医協の分科会
(共同通信社)【2007年3月28日】
医療保険が適用される療養病床の診療報酬に昨年4月の改定で5段階の報酬(点数)が設けられたことについて、中央社会保険医療協議会(中医協)の分科会は28日、「コストに見合わない(低い)点数が設定され、大きな疑問を呈さざるを得ない」とする中間報告をまとめ、中医協の基本問題小委員会に報告した。中間報告としては異例の批判内容。
医療コストに関する詳細なデータ提出を厚生労働省に求めた上で最終的な報告書をまとめるが、2008年度の次期改定で、点数が見直される可能性もある。
昨年の診療報酬改定の際、分科会は主に高齢者が長期に入院している医療型療養病床の患者について、医療の必要度と日常生活の自立度について、それぞれ3区分し、それらを組み合わせた9つの区分に分類した。これを基に、厚労省が医療の単価である点数を割り当てたが、医療必要度が最も低い「区分1」には、介護保険が適用される特別養護老人ホーム並みの低い報酬が設定された。
この点をめぐり、分科会の中間報告は「区分1に関して入院医療を必要としないとの政策判断がなされ(た)」と、強く批判している。
背景には、事前の調査段階で分かっていたコストが分科会に提出されたのが、報酬改定後の昨秋だった上、区分1でも他の区分と同等のケア時間が必要な患者がいることが分かったことがある。分科会の委員の間に厚労省への不信感が高まり、中間報告に「診療報酬が実際のコストとあまりにも懸け離れていると書いてほしい」との強い要望の声が上がった。
(記事ここまで)
これを見ると、診療報酬は中医協の審議によって決まるのではなく、中医協の意見は参考にするが厚生労働省が一方的に決めているのだと読める。
診療報酬といえば、以前はほとんど中医協の答申通りに決まっていたような印象がある。中医協は支払い側(1号側委員という。保険側、患者側)から8名、診療側から8名(2号側委員)、公益委員が4名、その他に専門委員が加わっている。この専門委員に製薬会社とか医療機器の会社とかが入っているのが、ちょっと気にはなる。
それはさておき、この委員名簿の中に入っていない、重要な存在がある。事務局である。事務局は厚生労働省側である。ここしばらくの審議内容(公開されている)をざっと見てみたが、審議しているというよりは、「事務局」対「1号側・2号側委員」の議論という様相になっている。1号側委員と2号側委員の意見が「こうしたい」と一致していても、国の方針がそれとは違う方向に進んでいるので「どうなっているのか」と事務局に詰め寄っているような審議が多い。
誰が今の医療の足を引っ張っているのか、医療崩壊の主犯は誰なのか、このあたりを見ても徐々に明らかになりつつあるように思う。