
12月24日午後6時半から、甲府市総合市民会館 芸術ホールで「第21回山梨大学医学部OB交響楽団演奏会」が開かれました。今年は、母体となる山梨大学医学部交響楽団の30周年ということで、気合いの入ったプログラムです。
曲目は、
スメタナ作曲 わが祖国 より「モルダウ」
メンデルスゾーン作曲 ヴァイオリン協奏曲 ホ短調
チャイコフスキー作曲 交響曲第5番 ホ短調
の3曲でした。
今回は、前日からの時間の流れに沿って書いてみます。
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前日(12月23日)

本番が迫ってくるまでは月1回の練習(しかも演奏曲目が決まるのが秋になってから)なので、本番直前になって急に人数が増えるのが、このオーケストラの特徴。前日の練習では、ヴァイオリンの人の弓が動かしにくいぐらいの人口密度に。

今年も来て下さいました。下田さんのハープ。
前日夜の練習は、N響の第9本番(だったかな?)を終わって駆けつけて下さった窪田茂夫先生の熱心なご指導も加わって、指揮者の鈴木洋司さんの微に入り細にわたる
(もちろんそれでも流したところはたくさんあるだろうけど)確認で、夜11時頃まで続きました。
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当日(12月24日)

前日練習後一旦家に帰って(車で約1時間)、当日朝8時に家を出て、演奏会場に向かいました。冬晴れに映える富士山が出迎えてくれました。

ステージでのゲネプロ(General Probe)の様子。

4台そろったティンパニ。メーカーはADAMSというオランダの会社。設置した後、きれいな音がするようにチューニングするわけなんですが、一番小さい(23インチ)ティンパニだけが、どうしてもきれいな音が出ない。1時間半ほど格闘して「これは壊れているのでは?」と思って持ち主の内田先生(大学の4年先輩)に聞いてみたら「棒が外れてるかもしれない」と。

底にある穴から覗いたら、たしかに棒が外れていたので、全部のネジをゆるめて皮を外して、分解。皮の張り方のバランスを取る6本の棒が、2本も外れていました。どう頑張っても合わないはずだ。

正しく引っ掛け直してから、皮を乗せ、ネジを一つずつ慎重に締め直してチューニングしたら、今度は20分ぐらいで鳴るようになってきて、そこからさらに20分ぐらい調整を重ねて、ようやくティンパニらしい音に。本番前に原因がわかって、しかも直せる故障でよかった。

ゲネプロ中のステージ上で、謎の少女が椅子を一生懸命「おそうじおそうじ」してました。かわいい。
(お母さんは隣でクラリネットを吹いています)

勢揃いした打楽器奏者の面々(私を除く)。
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今年も演奏会本番が始まる前に、何組かが「ロビーコンサート」でお客様をお出迎えしました。これはフルート4重奏。

ヴァイオリン2重奏。

ロビーコンサートの中でも圧倒的にクオリティーが高かったのが、今日のソリスト2人によるヴァイオリン2台+ピアノ伴奏。

ほとんどのお客様が足を止めて、ミニコンサートに聴き入っていました。

本番直前のステージ裏。気楽な感じで談笑している人もあれば、気合いを入れている人、しっかり緊張している人など、さまざま。
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いよいよ本番が始まりました。1曲目の「モルダウ」です。雰囲気も良く出ていてスケール感もあり、まずまずの滑り出しかな。

2曲目が、メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲。ソリストは変則的ながら2人いて、1楽章が鈴木響香ちゃん、いや鈴木響香さんにしとこう。

ほとんど毎年このオーケストラに出ていますが、メキメキ実力を伸ばしてきています。ソリストの弾き方
(ヴァイオリンはオーケストラの弾き方とソロの弾き方が違います。他の楽器でもそうですが)も板に付いてきて、しかも本番は「楽器換えた?」というぐらい一段と音が出ていて、これでまだ13歳だから、先が楽しみ。

舞台そでから撮った写真。指揮をしている鈴木洋司さんが、鈴木響香さんのお父さんです。

2楽章は、お母さんの鈴木聡美さん。このオーケストラでは平成9年のベートーベン ロマンス第2番 ニ長調をはじめとして、何回もソロをつとめています。

そして3楽章は、響香さんと聡美さんのSOLI(二人で一緒にソロを弾く)。二人で弾くと、それぞれ個性があることがわかります。これだけ細かい技巧が必要とされる曲を、一緒に弾くことができるなんて、すごい家族だ。

休憩をはさんで、メインのチャイコフスキー交響曲第5番。この曲は多分、これまでやった曲の中でも一番大きな、一番難しい部類の交響曲です。第1楽章や第4楽章では金管楽器が大きな音量で鳴るため、弦楽器の人数が少ないと音量的にバランスが取れません。なので、普段は山梨大学医学部や病院に関係のある人やその家族ぐらいが参加するこのオーケストラも、今回はかなり「関係する人」の幅を広げて、弦楽器の音の厚みを確保しました。
10月の練習で「難しい」と書いた第3楽章では、残念ながら本番でもきれいにつながらないところが残ってしまいました。それと、音量が大きいところや伴奏が大事なところなどで音程のばらつきが大きくて、「うわっ、美しくな〜い」と思うところがそれなりにあったりはしました。
でも、山梨の医学部オーケストラでこの曲をやれる日が来るなんて、学生の頃は想像もしませんでした。それが、曲がりなりではなく、かなりまともに演奏できた。これはすごいことです。満点とはいかないけれど、75点ぐらいはつけられるんじゃないかと思います(後で聞いてみたら、点数は上がったり下がったりするかもしれない)。
これまで、このオーケストラで力一杯ティンパニを叩くと、いつも「抑えて」という指示が飛んできましたが、チャイ5では「もっと!」という指示は来ても「抑えて」は来ませんでした。これもこのオーケストラでは初めての経験で、そういう意味でも今回の演奏会は別格。踊るように叩く必要があるところや、腕力的にしんどいところもある曲で、1か所音合わせし損ねて大きな失敗(曲は壊してないかな?)、納得いかない小さな失敗は3か所ぐらいありましたが、とても気持ち良く演奏し終えることができました。
アンコールは、これも頑張って2曲用意しました。
1曲目は、
リロイ・アンダーソン作曲 「そりすべり」。クリスマスイブの夜にふさわしい、楽しい曲です。
2曲目は、
「パイレーツ・オブ・カリビアンのテーマ」。映画音楽です。これも楽しく盛り上がって、200名ほど来て下さったお客様からたくさんの拍手をいただきつつ、第21回山梨大学医学部OB交響楽団演奏会は幕を閉じました。
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終了後はみんなで協力して後片付け。衣装を着替えたり、楽器を片付けて車に積み込んだり、ステージのひな壇を片付けたりして、

終了30分後には真っ暗に(←非常口の誘導灯がステージの床に反射している写真)。

その後は、もちろん打ち上げ。いつも練習している医学部福利厚生棟の近くの「みくりあん」というお店で、日付が変わるまで盛り上がりました。
毎年こんな大きな曲ができるわけじゃないので、今回の演奏会は特に気合いが入ったし、終わった後の満足感も例年以上でした。一緒に演奏してくれた方たち、聞きに来て下さった方々、来られなかったけど応援して下さる方々、ありがとうございました。クリスマスイブにふさわしいプレゼントになったでしょうか。
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来年のOBオーケストラ演奏会は、抽選に外れたのでまだ会場が取れていないそうです。なので、日付と場所はまだ決まっていません。でも12月下旬にやるのは間違いないと思うので、また日が近くなったらここでお知らせします。でも忘れるかもしれないので、
OB交響楽団のホームページの方も見てみて下さい。
↓このメアド欄はセキュリティが低そうなので、書かない方が無難です↓