全国医師ユニオンは1月24日(日)、東京にて「第1回医療労働研究会」を開いた。過労死弁護団全国連絡会議の岡村弁護士が、4月に改正される労働基準法の話を交えて、医師の過重労働や過労死を防ぐ意識の大切さを訴えた。
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過労死繰り返さぬよう,戦う覚悟を
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/1001/1001064.html
医師の過労問題,岡村親宜弁護士が講演
医師の過重労働や過労死,過労自殺問題の解決に向けて話し合う第1回医療労働研究会が昨日(1月24日),東京都内で開かれた。全国医師連盟(黒川衛代表)系列の全国医師ユニオン(植山直人代表)主催。初回は,過労死110番を行う過労死弁護団全国連絡会議代表幹事の岡村親宜弁護士が,今年(2010年)4月1日に改正される労働基準法(労基法)と医師の労働について解説し,「明らかになっている医師の過労死は氷山の一角。1つでも2つでも過労死のケースを掘り起こし,訴訟を起こしてでも戦っていくところから始めることが必要だ」と問題解決への道筋を示した。
1か月60時間超える時間外労働分は5割増し賃金に,4月1日改正
医師の労働に関しては,週40時間・1日8時間を超えて勤務させているのに36協定が結ばれていない,36協定があっても医師は対象外になっている,1か月の最大時間外労働時間が長すぎる(法定は45時間なのに120時間など),宿日直を対象外にしている,非常勤医の労使関係がはっきりしない―などの問題が指摘されている。
全国医師ユニオンが昨年(2009年)末にまとめた調査でも,公的病院で36協定が開示されたのは7割にすぎなかった(関連記事)。協定があっても1か月の最大時間外労働時間を「過労死ライン」の80時間を超えて設定したところが15%あるなど,医師の労働の違法状態は慢性化しているが,医師不足のもと,改善は簡単でない状況がある。
働ける人を長時間働かせる違法状態の慢性化は医療以外の分野でも深刻なため,国は4月1日の労働基準法の改正で,所定の限度時間(1か月45時間など)を超える時間外労働について,使用者は労働者に法定割増賃金率(25%)を超える賃金を支払うよう努力義務を課すとともに,1か月60時間を超える時間外労働については,割増賃金率を50%以上に引き上げ,支払い義務を課した。これまでの,「25%の割増賃金さえ支払えば時間は“青天井”で働かせられる」状態を是正し,長時間労働に歯止めをかけるものだ。
この5割増し賃金については,当面は大企業のみで,中小企業は対象外になっていることなどから,今改正を評価しない声もあるが,岡村氏は講演で,「割増率で労使が合意に至らない場合は,限度基準を超える労働についての36協定は結べないことになる。過重な働き方をストップさせる大きな変化」との見解を示した。
そのうえで同氏は,医師の労働について,「1か月45時間を超える時間外労働について特別条項付き協定を結んでいないことが一番の問題。『特別な事情』が臨時的に生じた場合に限って使用者は超過長時間労働を命じることができるのに,地震や災害といった特別な事情ではなく,医師不足だからという理由だけで,いつでも呼び出しができる状況になっている」と指摘。
「過労死ラインを上回る協定を結ばなければ病院が回らないという現状を,(医師本人だけでなく)家族も含めて問うていかなければならない。過労死のようなケースはやれるところから掘り起こして労災請求をしていく,戦っていくこと。それを続けることで初めて,医師の過重労働をなくしていけるのではないか」と述べた。
医師の労働環境是正へ,質問相次ぐ
病院勤務医が多く,現場での医師の労働環境是正に取り組む出席者からは,講演後,「1か月の最大時間外労働時間を45時間以上として36協定を結んだ場合は労災認定はされないのか?」「院長の責任は?」「休憩時間もポケベルで拘束される場合は勤務時間に含まれるのか?」といった具体的な質問が出た。
特に質問が重ねられたのは,非常勤医の扱いについてだ。病院で正規勤務医の環境を是正しようとすると非常勤医による労働に頼りがちになるが,非常勤医との契約は個人ベースだったり派遣だったりと雇用形態が複雑で,協定に盛り込みにくいからだ。非常勤医でも,基本的には病院長がタイムカードを付けさせるなど指揮監督をしなければならないが,大学医局が時間や賃金を決めて派遣をしている場合もある。
「特に若い医師では,大学病院の給料だけでは生計が成り立たないから,研究日と称して『大学外の病院で稼いできなさい』という所属医局派遣型の労働がある。へとへとであっても,医局とその病院,あるいは先輩後輩の関係もあって,自分で労働調整や管理ができなかったりもする」
こんな出席者の声に,「医師以外の労働者の場合も,平日はサラリーマン,土日は窓ふきアルバイトといったヤミ労働が行われている。それで何か事故が起きたとき,アルバイト先の方に指揮監督責任があったとなれば補償額がごく小さくなるため,今問題になっている」と応じた岡村氏は,「多様なケースがあり,そう簡単に線引きはできない。ただ,協定基準というものを作れば,その目標への到達度合いというものが出てくるはずだ」と,是正へのヒントを示した。(医療ライター・軸丸 靖子)
(記事ここまで)
おちついてじっくり読んでいただくとわかると思うが、勤務医の中には「ほんとにそれは労働者なのか?」と思う条件で働いている人が、まだたくさんいる。「自分で選んでその仕事に就いたんだろう」とか「医者は奉仕の精神で」とか言いたくなる気持ちもわかるが、労働者ではなく奴隷の精神でなければ務まらない状況は、異常だ。
労働基準法が平成22年4月に改正され、月60時間を超える時間外労働の部分には今までよりも大きい割増率(50%)が適用される。しかし過酷な状況で働く勤務医の労働は、そんな改正内容からははるかに懸け離れて、自分の時間や家庭や健康などたくさんの犠牲を払わなければ成り立たない状況にある。
全国医師ユニオンには私はまだ入っていないが、活動には注目している。医師は奉仕者であるべきであるが、労働者としても扱われるべきで、そうでなければ日本の医療は持続不可能になってしまう。私は現在の労働環境には満足しているが、昨年3月までの労働環境には2度と戻りたくない。こういうことを書くから非常勤も辞めろと言われるのかな。
医師が過酷な労働をしなければならない原因は、医療政策の長年にわたる失敗などさまざまあるが、民主党政権はマニフェストに書いた内容を反故にさせられて失敗を続けさせられているのに、なぜ財務省や厚生労働省に異を唱えないのか。民主党にも頭の良くない人は混じっているが、それなりの人が結構いたような気がしたのは気のせいだったか。
過労死しそうにない労働環境に移ることができた今だからこそ、過労死しそうな環境で働いている医師を守る活動をしたいと思う。まともでない労働環境の職場は、人の気持ちも人間関係も壊していくし、健康も壊していく。長持ちする職場を少しでも増やしていかないと、質の良い医療を提供できる医療現場が、どんどん消えていってしまう。
私が今ここでこんなことを書いているのは、募金活動とか税金を払うというのと、意味合いが似ている気がする。困っている人がいたら助け合おう、それが社会の笑顔を増やすことになる、というような気持ち。毎日それなりに働いている気はするけど、私よりうんとたくさん働いている人たちが、倒れてしまいませんように。皆さんも、ご協力下さい。コンビニ受診の自粛とかで、誰でも何かしら協力はできるはず。
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