先日職場にて、イラストレーターであり、空間デザイナーのエンドウキヨシさんの展示とワークショップを担当しました。

会場は、エンドウさんの描くとっても愛くるしい「ピーちゃん」や仲間達のイラストが広いスタジオ一面に展示されています。また、会場の雰囲気を一層盛り上げるインスタレーションは必見です!(6月12日(日)まで)
http://www.atlia.jp/exhibition/exhibition.php
先週末に行なわれたのワークショップは「ピーちゃん自動車をつくろう」でした。
実際に動くペダルカーの脚の部分を土台にして、思うまま色を塗った端材をつなぎ合わせて、組み立てていきます。二日間かけて小学2年生から5年生の子ども達やその親、また弟妹も飛び入り参加で作り上げました。
それはそれは素敵な時間でした。
私は自分自身もワークショップをすることは多いですが、
それ以上にたくさんのアーティストの方々のワークショップに携わってきました。
今回のエンドウさんのワークショップは久々に自分の中に驚きと歓声が溢れた経験でしたので、久し振りに自分のブログでも書いてみたくなりました。
それは、とてもワークショップらしいワークショップだったからです。
・ゴールが見えない
・一定のルールがある(アイディア)
・アーティストの入るワークショップであるといること
「ゴールが見えない」・・
これは、担当者としてはとてもハラハラしますが、
アーティストの力量や経験があってこそです。
今回の自動車は、はじめに端材に色を塗りました。
参加者の様子をアーティストは常に見ています。
予定の時間が過ぎても、参加者がのっていれば、次の作業を変更してでも
現状をつづけていきます。手順はどんどん変更していきます。
色を塗りたい子ども、次の作業に入りたい子ども、、
そんな個人のペースも自由に受け入れる寛容さです。
実際の車がどんな形になるのか・・そんな設計図もなにもアーティストは用意しません。
その時に子ども達が作り出したものを組み合わせましょう。
・・といったふう。
「一定のルールがある」・・
端材に色を塗るときに、参加者は一枚のトレーと一つの筆のみが渡されました。
絵の具は、絵の具係の人から、チビチビと少量をもらう事しか出来ません。
また、色も赤・青・黄・白・黒の5色のみ。
水で筆やトレーを洗う事も禁止です。水は色を薄めるときのみ使用可。
そんなルールがありました。
するとどうでしょう。子ども達はとても考えて色を作っているではないですか!
驚きました。
少ない色から自分のほしい色をつくり出す。
トレーが洗えないから、トレーの中での混色を考える。
トレーが中間色になり濁ってくると、その中から自分が綺麗だと思う色を考え、つくり出す。
絵の具係りの人に絵の具をもらいにいく回数が増えると、自然と相談するようなコミュニケーションも生まれる。。。これは驚きました。
小学生2年生とか、それ以下の子ども達が・・です。
「一定のルール」というには語弊があるかもしれませんね。これは、導くための「アイディア」です。
そして、自然にやさしいエコでもあります。
最後に
「アーティストの入るワークショップ」であるということ・・
これは、参加者(子どもたち)の作り出した作品の一番良い所を見極め、終らせるタイミング。また、参加者の作り上げたものを最高の姿で見せる形にする。ということです。
これはなかなか出来ない人もいると思います。
子ども達が素直につくるものは勿論素晴らしいいい作品です。
でも、ワークショップのようなある一定のタイムテーブルの中で
進行している場合、子ども達は行き過ぎてしまうこともあります。。
1人1人の子どもの時間は違います。でもワークショップのように
大勢で作業をする場合、その子自身のピークを過ぎてしまう事もあります。
私達は一人一人のその集中力やテンションを意識してみる必要があるのではないかと思います。主婦や、料理人や農家の方が食物の食べごろを見極める事ができるように、
アーティストは、作品の一番美味しい頃合を見極める事ができます。
これは、感のようなものです。それにまかせてみるのも悪くありません。
ワークショップ終了後、会場に遊びに来た小学生の男の子がワークショップで作り上げた作品を観て、ふと呟きました。 私はその言葉が忘れられません・・。
「この車、柄もなかなかいいよな。」

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