養老孟司の「バカの壁」新潮社 2003年を読んだ。ずいぶん昔だが、読んだことがなかった。いろんなことが書いてあるが、例えば冠詞の問題。
「むかしむかし、おじいさんとおばあさんがおりました。おじいさんは山へ芝刈りに、」という一節。この「おじいさんが」と「おじいさんは」の一方に a が付き、一方に the が付く。このような区別は世界のどの言語にもある。
ピカソはどうやってキュービズムの絵を描けたのか。おそらく彼は意識的に、絵を描く際にノーマルな空間配置の能力を消し去った。ピカソは健康なのに意図してああいう絵が描けた。
一神教は都市宗教で、多神教は自然宗教でもある。都市の人間は実に弱く、頼るものを求める。百姓には土地がついているからものすごく強い。非常に一神教の色合いが強いのがイスラム教であり、プロテスタントです。だからイスラムとアメリカが喧嘩している、こちらから見ると一神教同士の内輪もめにしか過ぎない。
そのほか社会的役割が固定されてくると「襲名」の問題、オウムの真理教の問題など、書ききれない多くの問題について書いてあります。

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