天声人語と同じように名物になっている朝刊のコラムがある。読売の「編集手帳」、毎日の「余禄」、日経の「春秋」、産経の「産経抄」、京都新聞の「凡語」など、その新聞社の選り抜きの筆者が書くのだから、皆味がある。読売の「編集手帳」はその中でも名文とされ、「編集手帳」の第〇集として次々に出版されているが、その中でも選り抜きのを選んだ「編集手帳」傑作選というのが出た(中公新書ラクレ去年5月)。
天声人語と比べられるが、こっちは文字数が少ないので、また違った味がある。乱暴な比喩だが、和歌と俳句の違いのようにも感じる。見開き2ページに書き、改行などは新聞と違って独自のものになっているのがいい。
傑作は数々あるが、その一つ:かつて啄木歌集には誤植が多いと言われた。印刷所の文選工が原稿をつい身につまされて読み、涙で目が曇ったという。

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