外山滋比古の「新聞大学」扶桑社文庫 今年6月刊 を読んだ。
日本の新聞は戸別配達になっている。テキストは日替わり、毎日じっとしていても手元に届く。これを活用しないという手はない。
各新聞とも、朝刊第1ページの下に看板コラムを並べる。社内きっての文章家が競い合うのだから、面白くないわけがない。
匿名のほうがいい書評ができる。身分を明かした書評は著者への気兼ねもある。出版社への配慮もある。そえで書評という仕事には魅力がないと思う人が多くなった。それで本名、肩書付きの書評が始まったらしい。
ある人は40年前、「タイム」の書評で名著に出会った。もちろん無署名である。「パーキンソンの法則」だった。この本はひょっとするとダーウイン以来の大著かもしれないと書かれていた。イギリスのサッチャー首相はこの本によって「小さな政府」を考えた。
外国の新聞は日本にくらべると読者の投稿がすぐれている。Letters to the Editor と呼ばれることが多い。面白いことを言うな、と思って読むと国務大臣だったりする。
訃報は重い報道だが、取材が困難である。文藝春秋の巻末「蓋棺録」は現在のところ最上の訃報ページだ。匿名だが、文章もしっかりしている。エッセイになっていると感じることもある。
長く一つの新聞をとっていると客観化しにくくなる。できればもう一つの新聞をとるのがいい。戦前、京阪神では併読紙をもつ読者がかなりいたらしい。

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