山口謡司の「日本語通」新潮新書。今年3月発行を読んだ。「ハハ」は奈良時代には「パパ」と発音された。清少納言が書いた「春はあけぼの」は「パルパ アケボニョ」と発音された。グリムの法則で、/p/→/ph/→/h/→音の消滅に変わるというのがある。すでにフランス語では h の音は消滅し、hotel は「オテル」としか言えなくなっている。
已然形が現代語では仮定形に変わった。平安時代には「行けば」は確定条件を示していた。それが現代では「行ったら」という仮定の意味になった。現在残っているのは「急がば回れ」などの慣用句だけである。
その他、ザビエル等のポルトガル語、オランダ通詞、唐通詞などの活躍、漢字しかなかった万葉集以後のカタカナ、ひらがなの発明、本居宣長や上田万年などの研究など、日本語について知っておくべきことを満載している。

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