服部公一の「童謡はどこへ消えた」平凡社新書 6月刊を読んだ。著者は私と同世代なので、話に共感するところが多い。童謡というのは外国にない歌だ。それが流れなくなって久しい。
著者の少年時代は戦意高揚の歌だった。「立つやたちまち撃滅の」「七つボタンは桜に錨」などだった。戦後「みかんの花咲く丘」や「里の秋」などが出て来た。テレビの時代になると「おもちゃのチャチャチャ」「ひょっこりひょうたん島」などが出て来た。今、これらの曲が流れなくなった。NHKなどがもっとこれを復活してほしい。
そのほか、「思い出す人びと」で中田喜直、團伊玖磨など、「童謡あれこれ」で「ぞうさん」「手のひらを太陽に」などの曲の思い出、「懐かしい唱歌」で「故郷」「早春賦」などの曲にまつわる思い出を書いておられる。
随所にこの人にしか書けない興味深いエピソードが出てくる。

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