だいぶ古い話だが、本多勝一の「中国の旅」朝日文庫 1981年を読んだ。日本が中国を侵略して行った残虐行為を、それを受けた側の人に直接聞いて書かれた本だ。生体解剖や南京事件のことが書かれている。数々の虐殺の話を聞いて心が痛む。
奉天の住友金属の工場での話は、私の父がそこで働いていて、見学に行ったこともあるので、一層心を動かされた。日本人が働いていた場所と中国人がいた場所とは別だったのかも知れない。溶鉱炉で働いていた青年が寒かったので溶鉱炉のそばに寄って温まっていたら、「寒けりゃもっと温めてやるぞ」と言って溶鉄をぶっかけられ、火だるまになって死んだ。
これに類する話が満載されている。こんな話を聞くと、我々日本人の間に中国人を蔑視する気持ちがなかったとは言い切れない気がする。
この本が書かれたとき、中国人は毛沢東を礼賛しているが、文化大革命が終わったあとなので、これはおかしいと思う。

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