田澤 耕の「<辞書屋>列伝」中公新書(今年1月発行)を読んだ。 lexicographer を訳すと「辞書学者」ということになるが、オックスフォードの辞書や「言海」の辞書を編纂した人は「学者」というのは少し違うような気がして、「辞書屋」と名付けてみたという。
オックスフォード英語辞典(全20巻)を編纂した人や「言海」の著者の大槻文彦などに焦点をあて、この辞書が完成に至った経緯を詳細にわたって書いている。 「ヘブライ語大辞典」の編集の内情はたいへんだった。世界各地に散ったユダヤ人が統一したとき、その言語を作るのは困難だった。ヘブライ語はあるが、それは2千年前の言語だ。現代は眼鏡、腕時計、フォークなど新しい語を使わないといけない。それをなんとか作って辞書の形にした。
その他スペイン語、ヘボン式ローマ字で書いた「和英語林集成」を表わしたヘボンなど、どれをとっても数10年はかかる大事業をさまざまな困難を物ともせず推し進めた人たちの姿を書いている。

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