小泉文夫の「日本の音」平凡社ライブラリー を読んだ。
戦後日本の音楽は正規の音楽の教育から除外されてきたが、それではいけないので、世界の音楽の中で位置付けてそれをどう考えるかを説いている。
雅楽・能、狂言・尺八・筝曲・三味線などの有様を詳細に分析している。
日本音楽では種目や流派ごとに発声法が微妙に違っている。たとえば長唄の発声法で清元を歌ったり、地唄の発声法で義太夫を歌うことはできない。
雅楽では拍節の最小単位である「小拍子」を組み合わせて「四拍子」(よひょうし)を作る。能で「四拍子」(しびょうし)と言えば笛、小鼓、大鼓、太鼓の4種の伴奏楽器を指す。
これらを理解して位置づけをすること、そして学校教育に取り入れることが大切だという。
西洋音楽も民族的な文化としてとらえなければいけない。西洋から東洋へという方向性を問い直し、それを逆転させるのだ。
文学において森鴎外や夏目漱石が100年以上も前に取り組んだことを音楽の世界ではいまも引きずらねばならないというのは無念である。
武満徹らによる邦楽器と洋楽器の交差する傑作をもっと広げなければいけない。

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