米原万里の「ガセネッタ&シモネッタ」(文春文庫)を読んだ。これは米原さんの他の本のようにひとつのテーマに基づいて書かれたのではなく、いろいろな新聞や雑誌に載ったものを集めたものである。英文学者の柳瀬尚紀との対談も入っている。
本の題名は Gasenetta d'Aggiare & Simonetta d'Oggi とイタリア語まがいの訳がつけてあるが、「ダジャレのガセネタ」と「ドジ通訳の下ネタ」という意味である。
「失楽園」が映画になって、それを見に行くのは中年の男だろうと思って映画館をのぞいてみたら、40代から60代の女性ばかりだった。「シツラクエン」なんてとんでもない。「トシマエン」だった。
こういうのを通訳しなきゃならないのは無理だという。
ロシア語で「こんにちは」を何と言うのかと聞かれたらちょっと困る。(
ラテン文字で) zdravstvuite というのだが、何遍くりかえしてもうまくできないときは「ズロース一丁」と言うのと同じだと教えるという。
マリアが処女で懐妊したというのも、誤訳の問題だとどこかで読んだ。ヘブライ語では、単に結婚をしないで、いわゆる正式な結婚をしないで子供を産んだという意味だという。それをラテン語に訳すときに、そういう概念がなかったので、処女になったという。
雑学でいろんなことが出てくるが、どれも非常に面白い。

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