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出典が明記してある箇所を除き、著作権は、筋書き担当のサングラス。

2017/6/23

だから、ぼくは眠りたかった  きみがいる時間

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 手に馴染んだライカはこわれてしまうし、
 観るつもりでいたフィンランド映画には行きそびれるし、
 なにより、きみに逢えなくなってしまったし...。

 だから、ぼくは眠りたかった。
 眠れば、きみに逢えると思った。




The Hollies / Yes I Will


 

2017/6/18

ガールズ・ライフ  車窓に開く頁

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 ガールズ・ライフ延長線上の夏 ----- 『チョコチップ入りのビスケット好き』からいつまでも抜け出せない。

 『愛はすり減るものだ』なんて、今まで思いもしなかった。




James Taylor / Fire and Rain


 

2017/6/16

段々思い出してきた  きみがいる時間

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 ユニフランス・フィルム駐日代表部の古い月報(1970年3月第110号)を書庫で見つけた。

 この年は大阪万博のあった年で、同会場で、4月1日から10日まで国際映画祭が催されている。
 当時すでに映画を外貨獲得の重要な輸出品と位置付けていたフランスは、同国映画製作者連盟会長J・ダンシジェールを団長に、二十有余名という、堂々たる代表団を日本に送っている。

 そうそう、段々思い出してきたぞ。

 代表団名簿にフランソワ・トリュフォー、ルネ・クレマン、ジャンヌ・モロー、ミシェル・ピッコリの名が見える。

 水口イチ子が高校を受験する、前の年のことだ。




Kate Rusby / The Village Green Preservation Society


 

2017/6/14

嬉しい誤算  きみがいる時間

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 天気予報は午前中雨、昼過ぎから曇り。

 しかし、予想はずれ。
 ぼく達が腰越の伯母の家で昼食を済ませた頃には、すっかり晴れて嬉しい誤算となった。

 誰もいない波打ち際で、イチ子が飛ぶ。




The Association / Cherish


 

2017/6/10

ブーゲンビリアが咲く島の入江に  装う想い

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 ブーゲンビリアが咲く島の入江に、今はもう朽ちて廃屋のようになったボートハウスがあって、かつて盛んだったというシャコ貝採りの漁夫が暮らしていた日々が偲ばれます。

 きのうは、年に一度、夏の大潮の日におこなわれるという海浜祭り ----- 入江の浅い海底が露出したと聞きます。

 合図と共に待ち受けていた人々が先を競って海に入り、名物のシャコ貝や潮だまりに取り残された魚を手づかみで採り合って、それぞれに岸辺で塩焼きやスウプ煮にして食べ、騒いだそうです。

 焼け落ち、燃え残った木炭がらの目立つ舗道を連れ立っていくのは、昨日知り合ったばかりのふたりでしょうか。
 楽しげな会話が今にも聞こえてきそうな夏の夕暮れ頃。




Kazuhito Murata / Lady September



 

2017/6/8

溶岩台地直下の夏  きみがいる時間

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『池のクルミ』から車山へ。

聞こえるのは雲雀のさえずりと
草の斜面を吹き上げる風の音だけ。

見上げる空に
グライダーが停まって見える。

           

梅雨明け十日。
熱気は諏訪湖辺りにとどまったままか。

           

霧ヶ峰 ----- 溶岩台地直下の夏は、
まだ、
陽射しが眩しいだけのことであった。




Josh Groban / Try To Remember


 

2017/6/3

そのあまりに悠長な  きみがいる時間

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大王椰子の並木が巨大な陰を舗道に延ばし、
カリフォルニアの陽が西に傾き始める頃のことだ。

ぼく達が座っていたのは、ロングビーチにある、
安いだけが取り柄のようなメキシコ料理店の奥。

タコスと些か上品さに欠ける匂いの豆料理を前にしながら、
きみならではの、そのあまりに悠長な語り口で、
この春、
きみが日本に帰るのを躊躇ったわけをぼくは長々と聞かされようとしていた。




We Five / You Were On My Mind


 

2017/5/26

そして朝の  きみがいる時間

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 そろそろ起きる時間も近い。

 時々こんな頃合いで、イチ子が、ぼくの好きな『スウィス日記』の一節を、まるで聖書を読むかのように抑えた声で読み上げてくれる。今朝は『シュタールエック』の部分だろうか。

『御茶がすむと、表に出て、口笛なんか吹きながら、岩の上を歩き廻る。をりをり霧が絶えると、南に高くアガシホルンと、その後ろに、フィンシュテラールホルンが現はれる。裏のグロース・シュレックホルンの方面は、いつまでも霧におほはれて、その下に牙のように口をあいた、シュレック・フィルンのクレヴァースが、透明な緑を含んで、なんとも言えない気もちがする。明日私達が登のは、この氷河のふちを登るのだが、どう行ったらいいのか、まるで見当が...』

 イチ子は、ぼくが目をつぶって聞いているのを知っている。
 やがて、
「そろそろ起きないと...」と声をかけてくれるはず。
 それまでに、あともう一頁読んでもらえると嬉しいのだが...。




Dara Maclean / For Once In My Life


 

2017/5/21

まだ想像するより他はないのだが  きみがいる時間

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 道に迷ったら風が吹いてくる方が南だと、宿のおばあさんのハルオさんが出がけに教えてくれた。

 尋ねたわけではないがハルオという名前は、春が長く続くようにとの親の願いから、春緒と書くのではなかろうかと想像した。そんなことが確か万葉集に書いてあったような記憶がある。

 さて、ここ新島本村の中心部にある宿から歩いて三分ほどのビーチ前浜は、ゴールデン・ウィークとは言っても、海水浴に限れば今はまだはシーズン・オフで人影もまばら。水温も充分ではなく、泳ぐには幾分無理があった。しかし、風を避けてする日光浴なら最早なかなか気分がいい。真夏の肌を刺す強烈な陽射しとは違い、今のそれは穏やかで、この時期ならではのものだ。

 その時、ぼく達は砂浜で、波の音を独り占めするように聞きながら遠い水平線の向こうを眺めていた。

 水口イチ子は、出がけに宿の帳場でハルオさんが見せてくれた観光協会のパンフレットにあった写真を思い出していたのか、
「明日はバイクを借りて、淡井浦ていう海岸へ行ってみましょうよ」と誘う。そこから見える旗城鼻と呼ばれる岬の景観が ----- まだ想像するより他はないのだが ----- どこか遠い南太平洋の、例えばパプア・ニューギニア辺りで悠久の時の中にひっそりとたたずむ島影を思わせるのだと...。




Baha Men / Beach Baby


 

2017/5/18

コクトーのイマージュ  貝殻これくしょん

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 このところの夜半、『特許許可局』とやかましく鳴いていたホトトギスは、なんの気まぐれからか河岸を変えたようで、入れ替わりに側の土手の茂みでウシガエルが鳴きはじめた。

 そんな夜のことだ。

 いつものように、浅い眠りから何度も覚めるたびに、手近に置いた富永太郎の詩画集をパラパラとめくっていて、ふと思った。
 この青年は、詩も書いたから詩人に分類されたけれど、一度は絵描きを目指してもいたし、本質的には画家なのではないかと...。

 とある頁にあった無題の素描 ----- コクトーのイマージュが重なる。




Art Garfunkel / This is the Moment


 

2017/5/17

太陽はひとりぼっち  貝殻これくしょん

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 若いストックブローカー(株式仲買人)と人妻との恋。

                

 大人には不毛な愛があるのを知ったのは、
 子供の頃に観た、
 この映画でだった。




Colletto Tempia and His Orchestra / L' Eclisse


 

2017/5/14

その一瞬、きみが呼吸したのは...  装う想い

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 朧気に見覚えのある風景の色であった。

 ある日の午後の遅い時間 ----- 重い足取りで夕闇が忍び寄ろうという頃の、その微かな記憶、もしくは印象の欠片。
 折も折、ささやかな光は水平線の近くにあって、気付けば、にわかに鼻腔を満たしていたのは、余りにもはかない一抹の潮風だった。どこかで海鳥の声も聞こえていたかも知れない。

 さて、その一瞬、きみが呼吸したのは、柔らかなベルベットにも似た時間と、静寂に導かれた蒼。

 その蒼は蒼であって、青でもなければ碧でもない。それは、きみの面影を飾る蒼 ----- そんな色のことをきみに話して聞かせたいと、ぼくは随分長い間望んでいたのだったが...。




The New Christy Minstrels / Today


 

2017/5/10

彼は風のように歌った  装う想い

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 目をつぶる。

 懐かしい音楽が鳴っている ----- 頭の、どこかずっと深いところで...。

                     

 あの夏の夕暮れ、
 彼は、その歌を歌った。あたかも、遠ざかる風のように...。




Scott Walker / Joanna


 

2017/5/8

染み付く夏  きみがいる時間

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 プールサイド

 きみの肩に染み付く夏




The Beach Boys / Summer Means New Love


 

2017/5/6

いったいなにを待ちわびていたというのか...  装う想い

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 リゾートホテルのプールサイドのバーが、やっとクローズした深夜、
 泊まり客のざわめきも次第に遠のき、
 今、聞こえているのは目の前のリーフに遠く近く砕ける波の音だけ。

 熱帯の夜を照らしたカクテルライトも間もなく消える頃だ。

                             

 さて、今日いち日、わたしは、いったいなにを待ちわびていたというのか...。




The Mystics / Hushabye


 



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