2007/3/10
「連作30首」
ウィークエンズ
君のTシャツは小さめ あざやかなイエロー ロバの笑うプリント
振り向いたけれども猫はいなかったけれども君がみたならいいや
長ぐつをはいた女の子が誰にするでもなくバレリーナのおじぎ
君がのぞきこむように見上げる僕はかつてぜんそくもちの男の子だった
原付におかまをほられたタクシーの運ちゃんがおいおいおいってでてくる
*
夏風邪の君が電話で話すのは昼寝のときみたバオバブの夢
鼻声の電話の向こうのたわごとにあいづちかさね探すつめきり
嵐の夜は寝るだけ つぎの週末は水着をもって遊びにおいで
紙袋かかえてやたらうまいハム売っててさってやってくるんだ
*
このあいだ買った薄手のコート着て髪を切りにいくって君は
空はビルをうつさないからビルにうつる十月の空はあんなにきれい
*
てへらって笑ってもダメ - - - - - - - -は谷折りにしてくれなきゃ困る
携帯電話に撮りためているパイロンの写真を厳選のうえ見せてくれた
ほこらしげにカーテンレールの上にずらりビールの空き缶ならべたりして
幼いころの君がかいた鏡文字のひらがなに灯がともったら さあ
コンビニへ いつものようにざっくりと君は髪ごとマフラーを巻く
*
この春のうすら寒さをどうしよう タンスにTシャツばかりあふれて
肩までの髪でつくったむりやりの君の三つ編みくすぐったくて
三月のつめたい光 つめたいね 牛乳パックにストローをさす
あかんぼが抱き上げられてからっぽのベビーカーのなか充ちるアンセム
とうとつに泣きジャクリーヌが泣きやめばまつげに春の雪がふってる
*
水面でくだける光がかなしくて世界はもはや若すぎるのだ
音が 風が 水が 流れていく水が やさしいひとに生まれたかった
左手はいつでも思うより不器用だけれど君の背骨をさぐる
ひさびさに晴れの週末 くるってはいない僕らは芝生をめざす
でたらめなでんぐりがえし 笑うなら笑えとくるぶしまでの靴下
袖口でみがいたリンゴを渡したら裾でみがいたリンゴをくれた
*
いたずらにはためく君のスカートは迷彩柄のような花柄
このさき一生スキップなんてしなさそう してもいいけど そうじゃないでしょ
たぶんいま手をつなぎたい 黒猫が街路樹のした草を食べてる
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投稿者:宇都宮敦
cyanさん、はじめまして。
コメントありがとうございます。
投稿者:cyan
はじめまして
どの歌も心へ直に響いて 振動します。
何度読み返してもステキな歌ばかりです。