当初の「ハヤカワミステリのロス・マク作品限定」を覆して「リュウ・アーチャーの登場するロス・マクドナルド作品全篇読破」を目標としていたが、1年弱かけて長篇については目標を達成するに到る。今後、関心の度合いに応じて、今後「ハヤカワミステリ以外のロス・マクでない作家の作品」も扱っていくようになるかも?

おそらく、ハヤカワミステリ文庫で出ているもののハヤカワ・ミステリ版は自動的に絶版になっているようだ。それに対して、ハヤカワ・ミステリだけで出ている作品のほうは、気長に待っていると思い出したようにひょっこりと再版されたりしている。文庫は結構絶版が多いようなので、一部作品で「文庫化されたものの方がかえって読めない」という逆転現象が目に付いたりする(^烹^;。歴史の長さの違いゆえか、古本でもハヤカワ・ミステリ版のほうが文庫よりも手に入りやすいようだ。

ハメット=チャンドラー=マクドナルド・スクール

前述のごとく、ミステリ評論家・アンソニー・バウチャーの造語らしい。ハードボイルド小説の主流がミッキー・スピレーンを代表とした暴力とセックスに満ちた作風に陥っていたのを嘆き、もっと内面的な作風を持ったロス・マクを持ち上げるため?に3者を結びつけたもののようだ。すでに書いたように、(ワシ自身も含め)実際の読者はこの結びつきに疑問を持つ向きが多いようだ。とは言うものの、「ハードボイルドの古典」として真っ先に読むべき3人であると言う点では、その評価に変わりはないだろう。もっとも、いまはチャンドラーの1人勝ち?という印象(笑)。

ダシール・ハメット長篇リスト

「赤い収穫(血の収穫)」Red Harvest(1929) ハヤカワ・ミステリはじめ翻訳多数
「デイン家の呪い」The Dain Curse(1929) ハヤカワ・ミステリ
「マルタの鷹」The Maltese Falcon(1930) ハヤカワ・ミステリはじめ翻訳多数
「ガラスの鍵」The Glass Key(1931) ハヤカワ・ミステリ、創元推理文庫など翻訳数点(いずれも品切れor残部僅少)
「影なき男」The Thin Man(1934) ハヤカワ・ミステリorハヤカワミステリ文庫(品切れ)

*なお、ワシのひいきにしている電子ブック出版社・グーテンベルク21はハメット作品の紹介に力を入れているらしく、(チャンドラー以下後年の作家よりも著作権または翻訳権のシバリが緩やか?というためもあるのか)上記の全長篇のほかに短篇の主だったものをそろえている。

レイモンド・チャンドラー長篇リスト

フィリップ・マーロウ・シリーズ
「大いなる眠り」The Big Sleep(1939) 創元推理文庫
「さらば愛しき女よ」Farewell,My Lovely(1940) ハヤカワ・ミステリorハヤカワミステリ文庫
「高い窓」The High Window(1942) ハヤカワ・ミステリorハヤカワミステリ文庫
「湖中の女」The Lady in the Lake(1943) ハヤカワ・ミステリorハヤカワミステリ文庫
「かわいい女」The Little Sister(1949) 創元推理文庫
「長いお別れ」The Long Goodbye(1954) ハヤカワ・ミステリorハヤカワミステリ文庫
「プレイバック」Playback(1958) ハヤカワ・ミステリorハヤカワミステリ文庫

ロス・マクドナルド主要作品リスト

リュウ・アーチャー・シリーズ
長篇
「動く標的」The Moving Target(1949) 創元推理文庫(品切れまたは残部僅少)
「魔のプール」The Drowning Pool(1950) 創元推理文庫(品切れまたは残部僅少)
「人の死に行く道」The Way Some People Die(1951) ハヤカワ・ミステリorハヤカワミステリ文庫(品切れ)
「象牙色の嘲笑」The Ivory Grin(1952) ハヤカワ・ミステリorハヤカワミステリ文庫(品切れ)
「犠牲者は誰だ」Find a Victim(1954) ハヤカワ・ミステリ
「兇悪の浜」The Borbarous Coast(1956) 創元推理文庫(品切れまたは残部僅少)
「運命」The Doomsters(1958) ハヤカワ・ミステリ
「ギャルトン事件」The Galton Case(1959) ハヤカワ・ミステリ
「ウィチャリー家の女」The Wycherly Woman(1961) ハヤカワ・ミステリorハヤカワミステリ文庫
「縞模様の霊柩車」The Zebra-Striped Hearse(1962) ハヤカワ・ミステリorハヤカワミステリ文庫
「さむけ」The Chill(1963) ハヤカワ・ミステリorハヤカワミステリ文庫
「ドルの向こう側」The Far Side of The Dollar(1964) ハヤカワ・ミステリorハヤカワミステリ文庫(品切れ)
「ブラック・マネー」Black Money(1966) ハヤカワ・ミステリorハヤカワミステリ文庫
「一瞬の敵」The Instant Enemy(1968) ハヤカワ・ミステリorハヤカワミステリ文庫
「別れの顔」The Goodbye Look(1969) ハヤカワ・ミステリorハヤカワミステリ文庫
「地中の男」The Underground Man(1971) ハヤカワ・ミステリorハヤカワミステリ文庫
「眠れる美女」Sleeping Beauty(1973) ハヤカワ・ミステリorハヤカワミステリ文庫
「ブルー・ハンマー」The Blue Hammer(1976) ハヤカワ・ノヴェルスorハヤカワミステリ文庫

短篇集
「わが名はアーチャー」The Name Is Archer(1955) ハヤカワ・ミステリ
「ミッドナイト・ブルー」(「わが名はアーチャー」以降の作品を中心に日本で独自に編集) 創元推理文庫(品切れ)

  その他の長篇
  「暗いトンネル」The Dark Tunnel(1944) 創元推理文庫(品切れ)
  「トラブルはわが影法師」Trouble Follows Me(1946) ハヤカワ・ミステリorハヤカワミステリ文庫(品切れ)
  「青いジャングル」Blue City(1947) 創元推理文庫(品切れ)
  「三つの道」The Three Roads(1948) 創元推理文庫(品切れ)
  「死体置場で会おう」Meet Me at the Morgue(1953) ハヤカワ・ミステリ
  「ファーガスン事件」The Ferguson Affair(1960) ハヤカワ・ミステリorハヤカワミステリ文庫(品切れ)

《セリー・ノワール Série noire》に連なる作家たち

《セリー・ノワール》とは1945年より仏ガリマール社より刊行の始まったミステリ叢書。当初はアメリカ・ハードボイルド作品の紹介がメインだったらしいが、ともにイギリスの作家であるピーター・チェイニーとハドリー・チェイスの作品が特に人気を博し、フランス本国でも彼らの流れを汲む作家が現れるようになったそうだ。レオ・マレ、アルベール・シナモン、ジョゼ・ジョヴァンニ、オーギュスト・ブルトンといった人たちが代表視されているようである。我が愛するロス・マクとはやや異質なようだが、「フランスで愛されたハードボイルド」だと思うと、意外に期待してしまうものが(笑)。

*なお、この作家たちの特徴として、「映画との密接な関わり」があることも挙げられるだろう。そのため、本来の範疇からやや拡大してしまうかもしれないが、セバスチャン・ジャプリゾなど、一般にはこれらの作家と一緒に扱われない人物の映画関連作品もこの場で紹介していくこととする。

ピーター・チェイニー

「女は魔物」Dames Don't Care(1937?) ハヤカワ・ミステリ

ハドリー・チェイス

「ミス・ブランディッシの蘭」No Orchids for Miss Blandish(1938)  創元推理文庫(品切れまたは残部僅少)
The Dead Stay Dumb(1939)
Twelve Chinks and a Woman(1940)
「蘭の肉体」The Flesh of the Orchid(1942) 創元推理文庫(品切れまたは残部僅少)
Miss Shumway Waves a Hand(1944)
「悪女イブ」eve(1945) 創元推理文庫(品切れまたは残部僅少)
I'll Get You for This(1946)
You Never Know with Women(1948)
You're Lonely When You're Dead(1949)
Lay Her among the Lilies(1950)
Figure It Out for Yourself(1950)
Strictly for Cash(1951)
The Double Shuffle(1952)
The Fast Buck(1952)
This Way for a Shroud(1953)
「とむらいは俺がする」I'll Bury My Dead(1953) 創元推理文庫(品切れ)
「殺人狂想曲」Tiger by the Tail(1954) ハヤカワ・ミステリ
「危険なやつは片づけろ」Safer Dead(1954) 創元推理文庫(品切れ)
「ダイヤを抱いて地獄へ行け」You've Got It Coming(1955) 創元推理文庫(品切れ)
「殺人(ころし)は血であがなえ」The Guilty Are Afraid(1957) 創元推理文庫(品切れ)
「世界をおれのポケットに」The World in My Pocket(1958) 創元推理文庫(品切れ)
Not Safe to Be Free(1958)
「ダブル・ショック」Shock Twicement(1959) 創元推理文庫(品切れ)
「暗闇からきた恐喝者」What's Better Than Money?(1960) 創元推理文庫(品切れ)
A Coffin from Hong Kong(1962)
「ソフト・センター」The Soft Centre(1964) 創元推理文庫(品切れ)

  レイモンド・マーシャル名義の長篇
  Lady,Here's Your Wreath(1940)
  Just the Way It Is(1944)
  But a Short Time to Live(1945)
  The Blonde's Requiem(1945)
  Make the Corpse Walk(1946)
  No Bussiness of Mine(1947)
  The Paw in the Bottle(1947)
  Trusted Life the Fox(1947)
  Mallory(1950)
  In a Vain Shadow(1951)
  Why Pick on Me?(1951)
  「フィナーレは念入りに」The Wary Transgressor(1952) ハヤカワ・ミステリ
  The Sucker Punch(1954)
  The Things Men Do(1954)
  「ヴェニスを見て死ね」Venetian Misson(Misson to Venice)(1954) ハヤカワ・ミステリ *日本ではチェイス名義にて刊行。
  Mission to Sienna(1955)
  Hit and Run(1958)

ジョン・トリニアン

「地下室のメロディー」The Big Grab(1960) ハヤカワ・ミステリ

レオ・マレ

パリ・ミステリーガイド(原題「新編パリの秘密 Les Nouveaux Mystères De Paris」)・シリーズ
「ルーヴルに陽は昇る」Le soleil naît derrière le louvre(1954) ハヤカワ・ミステリ
Des kilomètres de linceuls(1955)
L'ours et la culotte(1955)→Fièvre au Maraisと改題
「サンジェルマン殺人狂騒曲」Le sapin pousse dans les caves(1955) 中公文庫(品切れ)→La nuit de Saint-Germain-des-Présと改題
Les rats de Montsouris(1955)
「殺意の運河サンマルタン」M'as-tu vu en cadavre?(1956) 中公文庫(品切れ)
「シャンゼリゼは死体がいっぱい」Corrida aux Champs-Elysées(1956) 中公文庫(品切れ)
Pas de bavards à la Muette(1956)
「トルビアック橋の霧」Brouillard au pont de Tolbiac (1956) 文芸社
「ミラボー橋に消えた男」Les eaux troubles de Javel(1957) 中公文庫(品切れ)
Boulevard...ossements(1957)
Casse-pipe à la Nation(1957)
Micmac moche au Boul'mich'(1957)
Du rébecca rue des Rosiers(1958)
L'envahissant cadavre de la plaine Monceau(1959)

アルベール・シナモン

「現金(げんなま)に手を出すな」Touchez pas au grisbi(1953) ハヤカワ・ミステリ

セバスチャン・ジャプリゾ

「さらば友よ」Adieu l'ami(1968) ハヤカワ・ミステリ

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