gooの映画ページには出てこないが(
当時の世評によるのか、gooの映画ページは後期のアラン・ドロン映画の漏れが多い(-烹-;)、なかなか興味深いアラン・ドロン映画を見ますた。
1980年、アラン・ドロン45歳の誕生日に公開祝賀パーティーが行なわれたというエピソードもある、「ポーカー・フェイス Trois hommes a abattre」。監督は「ボルサリーノ Borsalino」や「フリックストーリー Flic Story」などでも組んでいるジャック・ドレーだが、原作の点でも興味深いものがある。原作者はフランス・ロマンノワールの「若き狼」として一時日本でも話題になった、ジャン=パトリック・マンシェット。この映画の原作「Le petit bleu de la côte Ouest」(1976)もずっと後になって「殺しの挽歌」(学研)として刊行された。
面白いことに、この作品以降、マンシェットの小説が連続してアラン・ドロン主演にて映画化されている。1本はドロン自身が監督まで務めている。2本目は「危険なささやき Pour la peau d'un flic」(1981)、3本目は「最後の標的 Le choc」(1982)で、現在いずれも古本でなら原作も入手できるが、映画の日本封切と同時期にハヤカワ・ミステリ文庫で刊行された「危険なささやき」(もちろん邦題はどちらも同じ)を除き、日本での翻訳刊行がずっと後になってしまったため、原作本の解説・ビデオのリード文どちらを見ても双方については言及されていない。加えて原題・邦題ともそれぞれの事情でまったく別個のものがバラバラにつけられているため、ロマンノワールとフィルムノワールの双方を楽しむ人間は注意を要する(
「最後の標的」についてはそちらの感想のほうに追記をしたので、そちらをご覧ください)。この作品は見始めてから気がついたので、原作を先に読めず残念(-烹-;。見た感じ、主人公の設定がアラン・ドロン向きに変わっているようだ。なぜかファーストネームがジョルジュ→ミシェルに変わっている。
筋立てはというと、たまたま武器商人の重役の殺害現場に居合わせたがために、背後関係を勘繰った殺し屋たちから命を狙われる羽目となったギャンブラー=アラン・ドロンの逃避行。原作での主人公は単なるサラリーマンらしいが、ひと癖あるキャラクターに変わっているようだ。その割にその生業としているポーカーをする場面がほとんど出てこない(始めにチョットだけ)のが腑に落ちない(^烹^;のだが、映画全篇がドロンとドロンを付け狙う組織との虚虚実実の駆け引きによって構成されており、「ポーカー・フェイス」と称する邦題が付けられたのもまんざら故のないことでもない。見どころは何といってもその「裏のかき合い」のスリル。クラシック風の重厚なテーマ曲も重々しさをかき立てる。アラン・ドロン=マンシェットの映画では文句なしに一番の出来ばえだろう。gooでの基準に基づく採点では80点か85点か迷うところだが。
(追記:その後マンシェットに関心を持ったというのもあって、原作「殺しの挽歌」を読了した。映画とはいくつかの場面がかぶるという程度で、まったく違った内容と言ってもよかろう(^烹^;。映画は企業の内幕に関わる陰謀を扱ったりのっけから三重殺人が出てきたりと何かと物々しいが、原作はずっとつましい(?)物語だ。しかし、主人公のみならず主人公を狙う殺し屋たちについても丁寧な描き込みがされており、これはこれでまた興味深いものであった)