アラン・ドロン映画の3本目は、最晩年のジャン・ギャバンと組んだ「暗黒街のふたり Deux Hommes Dans La Ville」(1973)。監督・脚本として先のジョゼ・ジョバンニも参画している。
これは傑作だと思う。「主人公の妻の事故死がケチのつき始め」など道具立てにはやや月並みなものも感じないでもないが、それも全体を覆う沈痛な重厚さの前では瑣末な問題に過ぎないだろう。主人公を追いつめる刑事が、やはりありがちなキャラクターながら、いかにも「仕事のための仕事」をこなす官僚的なさまで憎々しげなのが、また引き立て役としてよろしい。ジョバンニの本領である「闇の世界の生態の描写」という要素にはやや薄いが、このジョバンニやギャバンなどドロンがしばしば一緒に仕事をしている人物が制作に加わっている点を見ても、この時期のドロンとしてはある種集大成の作品であると言えるのではないか。