2008/8/9

隣りの子ねこ-3-  ショート―短編

これで前半終わりです。後半まだ書いていないぞう
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「佐久間」
「なに?」
「消えてくれ」
「ひどっ」
 真剣に真顔で言ったつもりなのだけど、あまり伝わっていなかったらしい。もういいから。さっきの事は水に流してやるから、さっさとここからいなくなってくれ。彼女だけ置いて。
「ケダモノ……ッ」
「ちげえよ!誤解されんだろうが!お前邪魔なの、ねえ!わかる?Fuck off! I don't need you! ok?」
「オーケー! マナ、お前『消えうせろ!』って言われてるぜ!」
「違う違う対象お前! 一ミリたりともokじゃねえ!」
 もうやだ。こいつはアレだ、なんだかんだで二人きりにさせないつもりだ。こんな茶化してる振りしてまだ怒っているに違いない。なんとなくだけれど、なんだか姪っ子大好きオーラが漂っている。ああもう、面倒くさい奴だ。会わせるつもりがあるのか無いのか。頭を抱えたい衝動に駆られ、思わず深い溜息が漏れる。その時、ふいに聞こえた。
「……ふふっ」
 小鳥みたいに小さな声で、耳がくすぐったくなるような、可愛らしい笑い声。ああ、この笑い声を聞くのは二度目だ。聞こえた瞬間、なんだか胸が震えた。佐久間は嬉しそうに、後ろの彼女の頭を撫でる。
「なに、マナ。面白かった?」
「ふふ……うん、面白い」
 ああ。綻んだ顔も、可愛い。小さな花が一斉に咲いたみたいな、笑い方。こんな顔して笑ってたんだな。壁越しじゃあ、想像するしかなかったから。想像なんかよりもずっと、可愛い。やばい。この子、こんなに可愛かったっけ。前も、そりゃ、普通に可愛かったけど。今は、なんか、直視できないくらい、可愛く見える。なんだよ。何考えてんだ、俺。妙に顔が熱くなってきて顔を背けると、今度は佐久間のほうが呆れたような深い溜息を漏らした。
「あーあぁ、しょうがないか。オイ遊佐」
「あ?」
「はい、あげる。でもまた泣かせたらペナルティね」
 そう言いながら、ぽいっと、まるで軽くプレゼントを放るように彼女を俺の方に差し出してきた。ちょっと蹴躓いた彼女を支えるには、抱きかかえるしかない、なんて。お互い目を白黒させている間に、背後でパタリ、と扉の閉まる音がした。おい、このやろう。確かに消えろと言ったけど、これは無いよな。一分近く、二人時が止まってしまったみたいに、ただただそこで立ち尽くしていた。
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