米澤容一・鈴木裕子編2008『東京都新宿区 若葉三丁目遺跡』(財)首都圏不燃建築公社・(株)四門
編者よりお送りいただく。感謝。
本遺跡の所在する場所は,江戸時代,「鮫河橋谷町」と呼ばれ,拝領町屋であったという。その住民は「江戸で安定的に居住する住民よりも,流動的住民が圧倒的多数で存在」していたという(p.201)。
本遺跡からは,薩摩焼3点の出土が報告されている。1点は竪野系と思われる象嵌の小型香炉,2点は苗代川の土瓶である。
香炉と土瓶1点は5上層,もう1点の土瓶は5下層出土である。報告によれば,5下層から18世紀後半の遺物が主体で,下限は19世紀初頭,5上層は19世紀前半と推定されている(p.9)。
生産地(窯跡)では,暦年代を推定する資料はなかなか得にくく,消費地遺跡の事例と照合させていく必要がある。そういった意味で,近年少しずつ増加しつつある江戸遺跡での薩摩焼の抽出は,じつにありがたいことである。
もちろん生産地側における編年の確立も急務であることは言うまでもない。

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