伊藤龍也2007『古教会への誘い−Old Japanese Churches−』現代書館
歯科医師が本業である著者が撮影した,関東甲信越地方の「戦前に建てられた聖堂が残っている教会または,それに準ずるところ」計26ヶ所の写真集。いずれもカトリック教会のようである。
大学生協の書籍部に並んでいたのを,ふと手に取ったのだが,これがいろいろとおもしろい。
たとえば,さながらヨーロッパから移築したような雰囲気を持つ石造の教会(栃木県宇都宮市松が峰教会)があるかと思えば,十字架が立っていなければ,仏教寺院と間違えそうな和風建築の教会(神奈川県藤沢市片瀬協会)もある。
また山梨県甲府市甲府教会の聖堂には,イエス・キリスト像や聖人像が並ぶの中に,裃姿で帯刀した武士・聖トマス篭手田(1619年殉教)の像があったりする(同書によれば「世界的にも稀」とのこと)。同じ甲府市の山城教会には,創建時に作られたという,十字架の入った「鬼瓦」が残っている。
そしてなにより驚いたのが,「畳敷き」の聖堂がけっこう見られること。清水教会(静岡県清水市)では,畳の上に長椅子が置かれているが,同県岡部町の岡部教会や,埼玉県入間市の宮寺教会では,信者は畳の上に正座して礼拝する(宮寺教会では神父さんも正座して説教している)。
このほか上掲の山城教会,静岡県静岡市・谷津教会,福島県会津若松市・会津若松教会などがある。ふだんはカーペットを敷いているという妙高教会(新潟県妙高市)も,その下は畳敷きになっている。
キリスト教建築については不案内であるので,カトリックがどの程度のヴァリエーションを許容していたのか知らないのだが,本書に見られる日本の教会建築の「在地性」は,「物質文化から見た異文化交流」という視点からすると,とても興味が引かれる。
書籍情報は以下。
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