3日は日帰りで有田へ行ってきた。メインは有田町歴史民俗資料館の企画展
「海揚りの有田焼−筑前岡垣浜を中心に−」(〜11/30)。昨日を逃すと会期中に見に行けないことに気づいたのである。「旅の友」は以下の2冊。
大庭康時2009『中世日本最大の貿易都市−博多遺跡群−』シリーズ「遺跡を学ぶ」061 新泉社
ロバート・ファン・ヒューリック(和邇桃子訳)2009『水底の妖』ハヤカワ・ポケット・ミステリ1829 早川書房
昼前に有田駅に着くと,N上さんが迎えに来てくださっている。一緒に昼食を取った後,資料館へ。
添田征士氏が,30年にわたって岡垣浜で採集された肥前磁器と,それらに対応する窯跡資料とが展示されている。採集資料すべてを沈船由来とは断定できないが(鍋島も1点ある),同じ器種・模様のものが多数採集されている場合は,積荷からと考えて良さそうである。その中に三川内焼の薄手の小碗9点が完形で採集されているのには驚いた。よく割れなかったものだ。
また採集された肥前磁器は,17世紀のものは少なく(溝縁皿や初期伊万里は見られないという),17世紀末以後,時代が下るとともに増加していくところは,筑前商人の活動の活発化と軌を一にしているという。さらに明治以後の製品は型紙刷りまで,というところも,明治中頃から進展する海運業の近代化と関係しているようでおもしろい。
そのほか幕末の筑前商人が,自らを富山の売薬商になぞらえているところは,その販売形態を考える上で興味深い。『兼葭堂雑録』などに収録された奇談に出てくる筑前商人の姿にも通じるものがあろう(2008/11/01の記事参照)。
尾崎葉子・北村都・野上建紀編2009『海揚りの有田焼−筑前岡垣浜を中心に−』有田町歴史民俗資料館・アジア水中考古学研究所
資料館を辞したのち,N上さんとともに九州陶磁文化館へ。課長のM尾さんにご挨拶し,以下の書籍をいただく。以前,編集担当のI田さんから,薩摩焼についていくつか質問されたので,「編集協力者」として,だそうだ(笑)
佐賀県立九州陶磁文化館編2009『2009新撰名品図録』同館
そののち開催中の
「森正洋の全仕事展−日常食器の豊かさを求めて−」(〜11/23)を拝見。佐賀で活躍されていた陶磁器デザイナー故・森正洋氏の作品展である。氏がデザインされた食器の中には,ときおり目にするものもある。近世以来の「産業としての磁器生産」は,こういう形で「継承」されているのだろうなどと思う。
普段だったら超多忙で連絡を取るのがとても難しいO橋さんが偶然出勤されていたので,少しお話をさせていただいた。陶磁器と幕政との関係や,最近のアメリカ調査の話など,興味深い知見をいろいろとうかがう。また先月,東京都庭園美術館を皮切りに始まった巡回展の図録をいただいた。
大橋康二監修2009『パリに咲いた古伊万里の華』展図録 日本経済新聞社
N上さんをはじめとして有田の皆様,お世話になりました。ありがとうございました(私信)