田辺悟2008『人魚』ものと人間の文化史143(法政大学出版局)は,古今東西のさまざまな人魚やその伝説,図像などを概括的に述べた内容。ヨーロッパ圏だけでなく,中国・日本などアジア圏の人魚にも多くのページを割いているのがうれしい。
その中で,大正8年(1919)に春陽堂から出版された谷崎潤一郎『人魚の嘆き』(同6年初出)の,水島爾保布画の人魚の挿絵について触れられている。
「よく知られている有名な挿画なのでコピーも多く,その中には海外への輸出品として制作された陶器の小皿のデザイン(文様)に,この(『人魚の嘆き』所収の−引用者追記)五葉の挿絵が転用されているものさえあるというほど,人気の高さが伺える(ママ)」(p.70)
水島爾保布−Wikipedia
下の画像は中公文庫版の谷崎潤一郎『人魚の嘆き・魔術師』(1978年)。水島の挿画が収録されている。カヴァの人魚も水島による。
これらの挿画は独特のエロティシズムをたたえているが,さてどのように皿に描かれたのかが,気になるところ。「五葉の挿絵」を1枚の皿に描いているのか。それとも柄違いの5客セットか?
