3:10金沢発車。
発車のベルは琴の音。
甲高くガチャガチャ掻き鳴らすようにホームにけたたましく響きわたる。
動き出したら、隣りに停まっているはくたかの向こうに新潟行きたぐに(3:11着)がのっそりと入ってきた。お互い定時運転らしい。
ホームの端にはそれを撮ろうとする若者が5人ほど。
それにしてもあと2時間足らずで一番列車の米原行き特急が動き出すとは・・・北陸地方の列車は昼夜を問わず運転されているので便利だ。
4:06福井発車。
じきに貨物駅の南福井。
空のコンテナ貨車の上にうっすらと積もる雪。
そういえば、この路線は関西と東北・北海道を結ぶ線上にあるのだが、それにしては貨物列車とあまりすれ違わなかった。
3本ほどしか記憶にない。
昨日までの大雪のせいで長距離貨物列車のダイヤが乱れているのか?
そんなことを考えていたら、いつの間にかうつらうつらして、北陸トンネルの中ではっと目が覚める。
全長13.8km。
あまりにも長いトンネルなので、なんだか変だ、と体が感じたのかもしれない。
トンネルから出たところで、ああ、この北陸トンネルは昔きたぐに号が火災事故を起こしたところではないか、とようやく気付く。
すると、トンネルを出て1kmも行かないところで、再び枕灯がふっと消える。
今度は交流から直流に変わったらしい。
じきに敦賀駅。4:43到着。
異常に長い敦賀駅のホームを出ると構内の外れに灯りをつけて待機する赤いラッセル車。
その先にももう1台同じ型のラッセル車がいた。
ディーゼル機関車の前後にいかつい除雪装置がくっついているので、何となくものものしい。
5:03(長浜到着10分前)。
「〜番上段のお客様〜、まもなく長浜に着きますので、おまちがえのないようお降りください〜」と小声が通路から響いてくる。車掌も大変だ。
そういえば、新潟発車時のアナウンスで、「車掌はJR西日本の何某が終点の大阪まで・・・」といっていた。
新潟から大阪までぶっ通しで勤務するらしい。
それにしても、この3月のダイヤ改正できたぐに・日本海の定期運用がなくなると担当車掌区の車掌の勤務はずいぶんラクになるのだろう。
5:20米原着
東海道本線に出たがレールの間にはまだ雪。
そういえば、今日の窓ガラスはあまりきれいではない。
車体の洗浄は新潟ではなく大阪に戻ってからやるのだろうか?
5:57おはよう放送。
「あと10分で大津です・・・」のアナウンスに続いて、洗面所を使う際には眼鏡や指輪など忘れぬよう、また寝台から離れる際には貴重品に注意せよ、と。
この懇切丁寧な注意喚起の放送は昔もやっていたが、最近さらに念入りになったような気がする。
夜行列車の減少とともに、それに乗り馴れないお客が増えたからなのかもしれない。
6時半ごろ。京都を過ぎて洗面所から戻ってきたら、外が薄明るくなっていた。
降りる支度に取りかかりながら、一晩お世話になったベッドを改めて観察してみる。
このベッドは座席がマットレスの役割を果たしており、その上に厚さ2cmほどの敷布団が敷いてある。
その布団はウレタンでも入っているのかクッションの作用がある材質なので、そのおかげで座席の溝が全く気にならない。
うまい具合にできているな、と思う。
この敷布団の幅は片手の親指から小指まで思いっきり伸ばしたの4つ分。1m弱だが、十分な広さ。
などと名残惜し気に下を見ていたら、気づかぬうちに窓外を通勤電車が並走していた。
ドア付近に立っているスーツ姿の人がこの列車を見るともなしに横目で見ている。手を伸ばしたら届きそうな距離。
こちらがカーテンを開けたまま浴衣姿のだらしない格好で布団の上に座り腑抜けた顔をしていたので、目が合ったら、彼の顔に
「見てはいけないものを見てしまった・・・」というような戸惑いの表情が浮かんだ。
しばらくして新大阪。
新幹線に乗り換えるのか、降りる客が結構多い。
淀川を渡って定刻6:49、終点大阪駅4番ホームに到着。
いやはや堪能しました、と少しふらふらしながらホームに降りてふと気付く。
ほとんど一晩中起きているのだったら、わざわざ高い金を払ってA寝台に乗らなくても、自由席でも同じことだったかもしれないな、と。
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