八十場駅(予讃線)
八十場駅には、今でこそ1時間に2本くらいの割合で列車が停まるものの、電化される前は、ほとんど列車が停まらなかった。
その名残として、当時の石積みの1両分ほどの黒ずんだホームが、駅の出入口付近に残っており、現在のホームは、それに継ぎ足されて先の方へと伸びている。
そのホームに列車から降りると、実った穂をたわわにつけた麦畑が裏手にあった。四季のうち夏秋は稲を、冬春は麦を育てているのだろう。
小雨が降りそぼっているにもかかわらず、その上を一羽のツバメが腹に穂先をこすりつけるかのように低く飛び回っている。傘をさしながら、しばらくその姿を目で追っていると、やがて、ツバメは線路を越えて、山側に聳える大木の方へと鋭く曲がって飛んで行った。そこで、私もそれにつられて、何となくそちらの方に歩いて行った。
すると、その大木の下に、手のひらに乗るほどの小さな野仏が数体、ぽつりぽつりと立っていた。よく見ると、どの野仏も腰に布きれを巻いている。
この近くにはお遍路で有名な四国霊場八十八箇所めぐりの寺があるので、お遍路さんたちの道中安全をこうして見護っているのかもしれない。
いつまでも降り続く雨で腰布が肌に貼り付いて、野仏達は寒そうに目を瞑っていた。

(八十場駅ホーム)

(八十場駅入口)

(黒ずんだホームの裏にそびえる大木 この下に野仏が立っていた)
(2006年5月26日)
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